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 夏山の爽やかな汗

高校2年の夏の思い出なのにとても鮮明にその光景が浮かんでくる。地域によって山開きの日程は違うのかも知れないが、学生の頃はよく山に登った。
部活は体操部だったので体力はあり余るほど!クラスは45人ほどだったがそれはそれは仲が良くチームプレーなどは常にトップクラス。夏休みに計画した苗場山登山はその中の30人ほどが参加したのだから大したものだ。
クラスに越後湯沢温泉のホテルの息子がいて登山前日その全員が豪華で豪勢な食事にありついたのだ。
殆ど眠らなかったといってよいほどふざけ合ったり語り合ったりで当日を迎える。
苗場山に登るのはその日が初めてだったが仲の良い級友の笑い声は緑いっぱいの大自然に吸い込まれた。途中で見つける湧水が美味いのなんのって!山登りをした経験がある人は分かるだろうがこの上手さは口では言えないほどだ。7月といっても陽の当らない場所にはまだ残雪を見ることが出来た。つまり、湧き出る水は歯が浮き出るほど冷たいのだ。だから格別に上手い。
雪国の山は決して美しい姿の木を見ることが出来ないが広がるキャンパスは心が躍るほど美しい。
修学旅行と違い先生がいない。体育祭と違い先輩や後輩もいない。気ごころの知れた級友(なかま)との登山は疲れなど感じさせず楽しい時間が過ぎる。頂上では1泊の計画だからそれなりの荷物がリュックに詰め込まれている。
最後の難所を通りすぎ3時頃頂上へ到着。頂上が意外と平らなのに驚いた。いくつかオアシスのような小さな池が点在している。山小屋に荷物を置くとさっそくゲームに興じることになった。
近くにある池の水は飲めないということで勇士3人ほどが全員の水筒を集めて先ほど見つけた途中の湧水を汲みに行くことになった。私もその一人で、先ほど苦しんで登った最後の難所を軽快に駆け降りた。
女子が喜ぶ顔を思い浮かべている自分がそこに居て少し興奮気味。しかしここで大問題に気づく。それぞれの水筒に入れた水をリュックに入れ、残りのリュックを手で持つ訳だが水筒に入れたのは水なのだ。
その重さの凄いこと。10分ほどで駆け降りた道は今度は登りだ!ガ~ン
肩に食い込むリュックのバンド!手のひらはしっかり太い線。学生が走って駆け降りた距離は相当長い。1時間もしてやっと頂上に到着。級友(なかま)たちはフォークダンスを楽しんでいた。汗びっしょりな私たちを見つけるなり「お~い!」「サンキュー・・・!」と声が飛んでくる。いつの間にか水汲み隊は級友に囲まれ、それぞれが自分の水筒を我先にと受け取った。次の瞬間ごっくんごっくんと飲み始める者一人また一人、「あ~・・・、苦労して汲んできた水が・・・」!!「うんめぇ~・・・」と歓声!
級友はみな大声で笑った! 「おい!今度は誰が汲みに行く?じゃんけんで決めようぜ・・・」。決まった3人がまた元気よく降りて行った。
「行きは良い良い帰りは恐い・・・」だぞ! そう思いながら汗を拭いた。

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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