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  覚 悟 2 (時代劇を通して)

大川橋蔵
昨日は「体操競技」を通じて「覚悟」を語ってみました。
今日は「東映時代劇」を通して「覚悟2」を語ってみたいと思います。

みなさんは「大川橋蔵」という時代劇スターをご存知だろうか!?
時代劇の東映って言うくらい、東映には華のある時代劇スターが本当に沢山いましたね。
片岡千恵蔵・市川歌右衛門の両御大を筆頭に中村錦之助・東千代乃介・大友柳太郎の次に登場
したのが「大川橋蔵」でした。
勿論、その前に伏見扇太郎という美少年がいたのだがどうした訳か今ひとつ伸びずでした。
里見浩太郎や松方弘樹の活躍はそのずっと後になります。
御大の市川歌右衛門と言えば息子の北大路欣也も七光りを超えた時代劇スターになりましたね。
片岡千恵蔵の息子(植木基春)は現在全日空の社長をしていると聞きました!!
それぞれに皆一世を風靡した大スターの皆さんです。

私が今回何故東映の時代劇、それを採り上げたか・・・です。
その中でも特に「大川橋蔵」で語ってみたいと思ったことには大きな理由があるからです。
映画や舞台、テレビに関わるみなさんには是非目を通して頂きたい内容ですが、「本当だ」・・・と
思ったら是非拡散してください。

「大川橋蔵」、東映時代劇の大看板でした。
豪が中村錦之助ならば柔は大川橋蔵。 ともに花形役者でした。
一心太助や森の石松などコミカルな役を演じたら錦之助の右に出る者はいない・・・と言って良い
でしょう。 そうかと思うと「宮本武蔵」や「独眼竜政宗」「織田信長」は錦之助ならではの豪快さが
ありました。

大川橋蔵は華のある看板スターのトップクラス。
何百本撮ったか知れませんが、「花笠若衆」「旅笠道中」「草間の半次郎」など娯楽作品がズラリ。
当時人気絶頂だった股旅演歌の橋幸夫の歌う「花の折り鶴笠」・・・・、思い返しただけでもその素晴らし
さは現代に無いだけに心の永久保存版です。

十八番と言えば「新吾十番勝負」、忘れてならないのが「若様侍捕物帖」、これはシリーズで続きました。
「月形半平太」などは彼の右に出る者はいないほどのはまり役。  そして「銭形平次」でしょうか!?
勿論、数えたらきりがないほどの本数でしたね。
「花吹雪鉄火纏」のような粋でいなせな役が多いのですが、この作品の何が良くてこの話をしているのか
です。
現在私はこの東映時代劇を800本ほどそのDVDを持っていますが、今の私の財産です。
その中には時代劇を引き継いだ「やくざ路線」のスター「藤純子」「高倉健」主演ものも殆ど持っています。

さて、その素晴らしさです。
つまりそれは着物の素晴らしさと共に、日本を代表する時代(日本の心)劇だったからです。
好きを好きを通り越して「私の財産」ですねまさに!

ここで大川橋蔵を語りたいのですが、写真に見るように実に華のあるスターでした。
現在この表情、華を醸し出せる役者は皆無に等しいと言って良いでしょう。

スマホの出現! ネット時代が人間の心を奪った現在にしてもはや浦島太郎化してしまったようです。
私は日本舞踊教室を運営プロデュースしていてそのジレンマと毎日闘って来ました。
考えるだけでなく、時代劇を500本も撮影したという大物監督とも知り合いになり、昨年から今年に
かけて2回ほど時代劇談義を重ねました。  しかし、その監督も時代劇全盛の後に登場したものです。

元NHKのプロデューサーと言われた人にも何度も何度も相談しました。
昔、「男はつらいよ」の音楽担当であった音楽家の山本直純先生。NHKの元アナウンサー高橋圭三
さんには私の人生を大きく変えてくれる恩師でもありました。

前にもブログで触れましたが、私は子供の頃から親戚の東映封切館(近所)にしょっちゅう通い、同じ
作品を2回も3回も観に行って木戸にいる伯母によく叱られたものです(笑)
お墓とお墓の間に竹竿を張り、シーツ等の幕をバックに時代劇ごっこ。  京都に居たらな~って正直
思いましたね。

子供心なりに東映の役者の所作の美しさに見惚れたと言った方が正解でしょう。
何故こんなに魅力いっぱいなんだろう・・・・!?  気づかずとも陶酔しきっていました。

そこには日本の美しさがいっぱいだったからなんですね。
今の若い役者に全くと言って無いもの(魅力)だということが今になってはっきり判ったわけです。

これ等の時代劇には、「日本舞踊」「能」「三味線」「琴」「横笛」「尺八」「着物」「生け花」「茶道」「殺陣」
がものの見事に含まれていました。
素晴らしい・・・・と感じたのは私だけではないでしょう。

「銭形平次」や「遠山の金さん」がテレビで放映されるようになり、「水戸黄門」がシリーズ化されましたが、
だんだんと映画全盛時代からその魅力が薄れていくのを見守るだけの時期に移って行ったのです。

東映全盛期に何があったんでしょう!?
テレビ化される中に何が起きたんでしょう!?

そこにあったのは創る側のこだわりだったように思います。
それと見落としていけないのがまだ残っていた日本人の人情(こころ)だったようにも思います。
それは、全盛時の作品を見れば分ります。 なぜ時代劇がこんなにも美しかったんでしょうか!?
それでは何故大川橋蔵のような素晴らしい時代劇スターが表れないのでしょうか!?

かやぶきの家が無くなっただけではありません。
人間の心までもが希薄になり、自己中心的な人間が多くなった平成がまさに人間の心を奪い去ったと
言い切れるんだと思います。

東映時代劇の全盛時には画面から不思議な郷愁のようなものが垣間見れたような気がします。

大川橋蔵を代表して言わせてもらえるなら、そこに素晴らしい「色気」が漂い、なんとも言えない「間」が
ありました。
タスキ一本かけるにも間の美しさ、静と動の絡み合いがなんとも上手く描写されているのです。
まさに写真はその1シーンですが、写真を撮りたいと思うほど美しいんですね!!
作り手と演じ手の打ち合わせを聞いてみたかったですね。

まだまだ各家庭には家族が沢山居た時代です。
高度成長高度成長と何かを追いかけていく内にひとつふたつと何かを失い始めて昭和の幕が降ろされ
ました。

良いものは残さないと・・・・!
東映全盛時の時代劇が何故これほど素晴らしかったのか!? それこそ日本の伝統や文化が満載で
あったに違いないのです。

日本の誇れる時代物の美しさはどこにあるのだろう!? そう考える必要は全く無かった時代でした。
ある企画で外国人に紹介する作品を考えるとき、芸能に関わったことの無い人物が「武田信玄」を挙げ
ました。  これは大間違いです。
外国人に知らせる日本の心。 それは美しさであり日本の心を表現できる華やかさです。
嬉しいことは、波島も私もそこは一致しています。  事業に関わるスタッフも心の美しい人間でないと
その作品を仕上げることは出来ないでしょう。

時代劇を代表する大川橋蔵は日本古来の美しさになくてはならない美しい「華やかさ」があったんです。
目で語れる役者。 その目が輝いているのではなく心そのものに輝きがみなぎり、それが目に移行し
華となって魅了する。

私が東映作品を800本ちかく持っていると言いました。
今でも1日1本は観ないと眠れない習慣がついてしまいましたがそこにはもうひとつ大きな理由があった
んです。
つまり、私がプロに所作を語るとき「理屈」でなくその魅力を話し表現できなければなりません。

特にこれはというプロ志望者にときたまこれらの東映作品を貸してあげることがあります。
それは、私の話より観れば分るからに他なりません。

観た若者の感想はやはり今の若者でも「素晴らしい」「美しい」との感想をくれます。
しかし、分からないことだらけのようです。  貸した私の手前「素晴らしい」と答えますが、実はここに
こそ大問題が潜んでいるんですね。

当然私は「本物の役者」になって欲しい一心で貸すのですが、それを見て技術の向上を図る努力を
するのは本人なのです。
面白いからと見たい希望者に貸したいとは思いません。
本気になって参考とし、見習って努力したいとする者にのみ貸してあげたい。

心のどこかで「本物を育てたい」
これは高校時代の体操部の行動も同じことだったと思います。
たまたま、日本舞踊教室を営んでいる関係で「素晴らしい日本人を育てたい」とする心が、プロ志望者
にはそのように、教室の生徒さんには少しでも着物を通してその「美しさ」を伝えたいんですね。

教室開校で11年が過ぎました。
私の狙い通り素晴らしい指導者の下に素晴らしい生徒さんが日々日本舞踊を楽しんでくれています。

踊りも去ることながら波島陽子の心に触れるだけでも価値があると喜んでいます。
ただ、これらの素晴らしい作品を通して思えることはやはり「覚悟」でしかありません。

プロを目指すなら、まして指導者(師範)を目指すものにとってこの覚悟は相当なものが求められます。
どうして大川橋蔵や錦之助、美空ひばり、や花園ひろみ・大川恵子・千原しのぶ等々何百人もの俳優
が美しい表現が出来たか!?
本当は私の持っているDVDを貸してあげたいですね。 レンタルショップに行けばいくつかはあるのだ
から「やる気」があるなら是非借りて見て欲しい。  そしたらその意味が分かります。

私はこれらの役者を偲び懐かしんでいるのではありません。
この作品を見続けることで本物の日本の文化や伝統を更に理解でき、伝えることが出来るんだと確信
を持っているんですが・・・!

そしたら、80才を超える有名な三味線のお師匠さんが言いました。
「岡部さん、若者に惚れこんじゃだめよ!」・・・・と。  これは惚れこんでも期待に応えられる環境に
ないということだという意味です。  もう時代が違い過ぎて理解すら出来ないんだとか!?
ではなぜ着物をまといたいと思うのか・・・と反論したくなるんですね。

日本の心、美しさがあって初めて醸し出る雰囲気であるからそれも分かります。
美しいものは美しい。

昨日テレビでこんなことを言っていました。 女性の本性(性格)はどこで分かるか・・・・と!?
みんな好きで、あるいは見立てで美しい可愛いと付き合ったり結婚したり。 実はそこでは決して本性
を見ることは出来ない・・・と。
ではどこで女性の性格が分かるのか!? それは「別れるとき」と言っていました。  なるほど。

嘘の無い覚悟。 それはこの女性の別れ際に似ていませんか!? 
初めはみんな良いと思って飛び込みますね。  実際そうなんです。

でも、せめて私は最後の最後まで「嘘」はつきたくない。 そう生きようと決めています。

それが良いものを生み出すための覚悟でしょうか!?    覚悟は本気が勝負です。
やれないんではなく、やらないんだ・・・と。  やらない人間(ひと)に限って言い訳をします。

つまり「覚悟」がないからに他なりません。


( 明日は覚悟3についてお話しましょう)











プロフィール

岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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