2ntブログ

 穏やかな海

もう連絡を取らなくなってから30年以上経つだろうか?私が20代の頃新年に伊勢の的屋湾に面した漁師のお宅に招かれたことがあった。名古屋時代の会社の同僚の実家が漁師さんだった。
海は大好きでそれだけに夏大好き人間でよく泳ぎにはいったが海で釣りなどまったくの未経験。話は聞いていたのでとても楽しみにして出かけたことを覚えている。正月休みだったから三が日のどこかであろう。
どうしているかこのブログから会えると良いのだが名前は谷岡さんと言ってとても優しい女性だった。勿論結婚をし幸せに暮らしているだろうが私が名古屋から離れて音信不通になっているので消息は分からない。
そのお父さんと一緒に小舟沖に向かった。その日は嘘のような波ひとつないと言っても過言でない穏やかでポカポカ陽気のⅠ日だった。
当時は若かったが釣り糸は手でたらして釣るのだ。普通長時間子舟で海にいれば酔いそうなものだがその日は殆どと言っていいくらい揺れない。適当な揺れは静かなゆりかごみたいだからまるで夢見心地だ。
釣れたかって?私は不思議なことに1匹も釣れなかったがその楽しいひととき(光景)は今でも鮮明に覚えている。
半日もしただろうか。谷岡さんとは世間話で楽しかった。帰ると谷岡さんが釣った魚をいけすに放す。大きないけすは家の縁側の下につながっていて縁側から救い網で取ることができた。
びっくりしたのはそのいけすは海つながりになっていて海水はそのまま入って来ている。従って中で泳いでいる魚はなんでもありなのだ。驚いたのは、たこや伊勢エビまでもが楽しそうに遊んでいるようにも見える。
ここは広島がきにも負けない的屋がきというのがある。
想像して見てください。産地直送ではありません。獲って何分もしないうちに口に運ぶといった具合です。なんて贅沢なんでしょうね!
高級料理屋?活魚料理?表現なんて出来ません。そこで飲んだ日本酒は今までで最高だったでしょう。
あの生がきを思い出しただけで舌なめずりしてしまう。
漁師町だけに石段や坂が多く車が通れる道ではないのでその静けさたるや不気味なくらいでした(名古屋にいましたから)。多くの同僚社員の家への訪問は求人担当としての役得だったように思います。
1年が穏やかにスタート出来た感動はそう何回もあるものではありません。
そういう意味では今年の元旦に見たご来光は久し振りの感動でした。あの穏やかだった海のように穏やかな気持ちでいられることは何よりも幸せなんだと思いますね。今年もきっと良い1年になることでしょう。

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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岡部俊雄

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