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 おもてなしの心 2

「おもてなしの心」、口で言うのは本当に簡単ですが実践するということはとっても難しい事柄です。

①でお話ししたように、各企業はお客様争奪戦で素晴らしいキャッチフレーズを掲げ宣伝したり社員教育をしたりと中身はいつも切実ですね。

あえて私が事例をもって説明するのは、聞いたり見た話しよりも現実性があるからです。勿論会社や実名で紹介することは出来ませんが私のエピソードに着色はひとつもありません。
何回かに分けて紹介しますので「おもてなし」がどんなものでなければならないかのヒントになることを願って綴り続けたいとおもいます。

一般的にですが、特に中小企業のそれも同族的な会社はその善し悪しが極端です。
私が企画制作会社を営んでいるときは語りきれないほど多くのドラマ(事例)に出会ったものです。
勿論、全て「おもてなしの心」というテーマで統一できます。

国境のトンネルを通りすぎると・・・・で始まる湯沢温泉は関東から近く冬はさらにその賑わいを演出し賑やかでした。この地域ではトンネルひとつ手前の水上温泉・伊香保温泉、そして湯沢温泉と老舗の宿を多く抱えた温泉街ですが、当時は(昭和の終わり頃)その競争も実に熾烈でした。
私はいろんなイベントを依頼されそれを仕込み実行する訳ですが、ここでの教育が半端でないんですね。
挨拶の仕方をまるで軍隊調にたたき込み、夜のクラブ(スナック)等での売上げの上げ方など半端ではありません。
得てしてお客様というのはその教育実態を見ることはまずありません。
私は、名古屋時代の約10年間を実際に社員教育に注いで来ましたから経営者の気持は手に取るように分かります。
私との実践の違いは後で述べるとして、まずこの温泉宿の実例を紹介しましょう。
お客様がいらっしゃる30分ほど前に毎日ミーティング(と言っても社長の訓示が殆ど)を行うのですが、このミーティングでまず心の笑顔はすでに消え去ります。
それはその内容がその殆どがノルマを与えるような接客指導で終始しているからです。
飲み物のオーダーを頂くのは当たり前。なんとかオードブルを注文させるような教育。当然そこで働くホステスたちには出来るだけホステス自身が高いお酒を甘ったるい声で、「ねえ!飲んでもいいでしょう・・・」とオーダーするのです。
お客様の中には旅行者ではなく、夜可愛い子を目当てに通う地元の青年もいました。
後で知ったのですが、1ケ月に約20万も使っていたんだそうです(何ケ月もですよ)。高級なウイスキーのキープなど当たり前。

私はその子目当てのその女性に言ったことを今でも思い出します。
「***さん!いつも来ているお客様の***さんね。一般のサラリーマンがこんな金の使い方続くと思う?それに目当ては貴女のようだけど、それほど来たいのなら1日の金額を上手に貴女が教えてあげたら!」と。
勿論経営者には内緒の話でしたが、いくらお客様が若いからと言って、地元のお客様なんだから非常にそのマイナスな営業方法を危惧したんですね。
顔で笑って笑顔で応対はしていますが、極端に言えばお客様からお金を巻きあげんばかりの手法にほとほと嫌気がさしていました。
何故私がそこに居たかって!?私はある時期その店(ホテルのクラブ)の企画を売り込み、2ケ月ほど続いたカラオケ大会の司会を務めていたことがあったからです。
1人のお客様からいくらお金を巻き上げるか!?そう言った手法であったと言っても決して過言ではありません。
まして、旅行に来て高い金を巻き上げられるのです。

わたしが言いたいのは、そんな経営者の下で本当のおもてなしなど出来るはずがないと言うことです。
3時前後になると続々とお客様がチエックインしてきます。女将を先頭に仲居さんが勢揃いし迎える光景はドラマさながらです。
ここでもそのお迎えの仕方を教育されている訳です。
どんなに大きな声でいらっしゃいませを言っても、どんなに精一杯の笑顔をふりまいても「言われたからしている」ではお客様には通じません。
大きくなれば、その施設やお揃いのお着物等に「素晴らしい宿だ」と思わせる錯覚を演出しています。
気づかない経営者はそれが正しいとおもっているんだから始末が悪い。

(つづく)
プロフィール

岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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