2ntブログ

 おもてなしの心 8

入社して半年目に私は名古屋駅店にいました。

当時まだ若かった店長の就任にお店の従業員(全て販売員は女性)は大変な話題だったようです。
ご存知のようにその頃は携帯電話なるものはその影すらありません。 田舎との連絡も電話ではなくその殆どが手紙でした。
女性の多い職場ということで父親は心配したんでしょうね!当時手紙にこんな文面がしたためられていたことを本当に昨日のように覚えています。
「女性というのは非常に難しいものだ。いろんな女性(ひと)が居るだろうが、全てお人形だと思いなさい。心を移すと面倒だからね!」・・・・と。 前後の事例を含めた父親の文面はとてもよく判りました。つまり女性が多い職場で特定な人に心移すと仕事がやり辛くなるということです。
もともと明るい性格の男でしたから、それからはまるで青春映画を見ているような行動ぶりだったと思います。
店の従業員も珍しさ半分期待半分だったかも知れません。
ただ、驚いたことは、当時店長という経験は無く殆ど販売店を運営していくのに正しい知識は無かったと言っていいでしょうね。
会社は当然様々な報告を求めます。その殆どは「数字」でした。
管理ということは当時実践しながら学びました。「数値責任」が何であるか!?、店長として求められることはまず書店でその基本を買い求めよく勉強しましたね。
しかし、社員(ひと)が動くということはどの教材にも出ていません。
勿論、らしきことは学べますが、実践とは全てに環境やその現実が違うので実際に起こる出来ごとから対応していくしかないのが本当でした。

何も知らず出来ませんが、心(情熱)だけは誰にも負けないものを持ち合わせていたので、とにかく夢のような理想を追いかけましたね。
ここで大きな影響があったのは、専務が何も言わなかったことです。
つまり、全面的に私に任せてくれたということでしょうね。それを信用と置き換えればそうかも知れませんが、専務は適正在庫と商品管理(特に食品でしたので)だけはうるさく言っていただけです。それは食品を扱う会社の命とも言えるものですからね!

名古屋駅の地下に在る名駅店。
私は販売員にこう訴えました。「場所柄、お土産を販売している訳だけど、製品は工場が責任を持って老舗にふさわしい商品を送り込んでくれている。我々は工場の皆さんの成果が結果として表れるようとにかく頑張って販売しよう! そして、もうひとつ、私たちにしか出来ないことがある。それはお土産として買って頂くと同時に私たちもお土産として持ち帰って頂こうじゃないか!?」という訴えでした。
そうです。販売員として一番大切な原点の追求でした。
それからというもの、いろんなことを思考錯誤しながら追い求めました。販売員は平均年齢22歳くらいだったと思います。その女性(はんばいいん)にいくつも違わない若造が訴えるんですからそのエネルギー源は情熱だけでしたね。
まず最初にこう切り出しました。
「あなたたちが、何か買い物や食事に行ったとき、どんなことに感動しどんなことが嬉しくて、更にもう一度その店に行ってみたいと思った経験はありませんか?」ということがひとつ。
もうひとつは、その反対に「あんな店に二度と行きたくない・・・という経験はなかったですか?」でした。
朝礼を始め、いろんな機会を利用して徹底的にその質問を掘り下げました。
あるんですね!驚くほど様々な事例が出てきて当時はとっても楽しかったことを覚えています。

つまり、この質問は実に簡単なんですね!
誰にでもいくつかの事例があって今まで過ごして来たかがよく分かります。
出た事例に対する答えは簡単です。
要約すれば、嬉しかったことや感動を受けたような応対を私たちもやろうよ!嫌だったことは絶対自分たちがやらないようにしようよ・・・。と訴えました。
私が(店長)がどんな訓示を述べるより非常に理解してもらえた簡単な勉強方法でした。
11名もいましたからいろんな事例が出て来ました。それが笑いとなり話題となり、非常に理解してもらいやすかったのを覚えています。

(つづく)
プロフィール

岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
チーフ・プロデューサー
演出家

最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード