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 心の持ち方こそ原点 4

悪気ではなくとも多かれ少なかれ皆さんにも経験があるはずです。 先に日本舞踊の波島陽子先生のお話をしましたが典型的なプラス思考な先生です。優しさがにじみ出るのはまさしく心の持ち方の典型です。
先生がエレベーターに乗りました。そこに小学2年生くらいの男の子が学校帰りでマンションの入り口にその姿が見えた時のことです。すでにドアは半分くらい閉まりかけていましたが、男の子に気付いた先生は勿論即座にエレベーターのボタンを押します。息を切らせて入って来た男の子に先ず「お帰りなさい」と声を掛けたのです。そして「学校楽しい?」と重ねます。こうしてほんのひと言ふた言の会話があってドアが開きました。ある階で男の子は元気良く「ありがとう!」と言って降りていきました。
浅草は賑やかです。お稽古帰りに歩道を歩いていました。花屋さんの前は歩道が特に狭くとてもすれ違いは出来ません。前から乳母車を押した若いママがやって来ました。タイミング的には波島先生の方が先に通っても決しておかしくない距離ですが笑顔で道を譲ります。そしてすれ違い様、「おいくつですか?可愛いですね~」となります。若いママは満面の笑みです。
これはどこにでもある日常の出来事ですが、まさに心の持ち方の原点でしょう。
夏休みにデンマークに出かける中学生の団体に踊りを教えることになった時のことでした。普段は元気なんでしょうが、お稽古場で学校関係の引率の先生も一緒で少し高揚しているのか硬さが目立ちました。数少ないお稽古時間で心配なことがいくつも浮上して来ます。
当然教育委員会より仕事として引き受けている訳ですが一緒に居たらきっとびっくりします。まず商売としてなら成り立ちません。つまり、友好事業の一環として恥ずかしくない作品(踊り)は勿論ですが、ゆかたの着方や着物のたたみ方、本当に細部に至るまで心をこめて教えています。
ここで私が感じたことは、この子たちが成人した時のことです。何かを一生懸命やり遂げるのは勿論ですが、心の交流を通して感動を与える秘訣のようなものが目には見えませんが結果として伝わったように思いました。
団長役の校長先生が一行を引き連れ大役を果たされて戻った後にその土産話を聞かせて頂きました。
デンマークでは学校でのⅠ回の予定が好評で庁舎やパーティーの席上等計3回舞ったそうです。その全てに自分たちの子供たちではないと思えるほどの感動を受けたそうです。「3回目の披露のときは涙が出てしまいました」と語る校長先生の心がそのまま伝わって来ました。
「波島先生にお願いして良かった」、そう言って頂いたとき改めて波島先生の心の持ち方に敬意を表する気持ちが強まるのでした。(つづく)

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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