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 おもてなしの心 10

東京までの新幹線の中は無礼講です。
電車の中でまで堅苦しい要望は避けました。気心の合った社員同士が行く訳ですから殆ど旅行気分です。
私はそれでいいと思いました。

そして、車内であることに出会いました。
それは車内販売の女性が私たちの注文品が無いことに気づき、ロッカーにその商品を取りに行ったときのことです。販売員は商品を乗せたワゴンをその場に置いたまま立ち去ったのです。
何分くらいだったでしょうか!?少し長いように感じました。すると通路の反対側の座席に座っていた外国人の乗客がうちの女性に声をかけて来たのです。
「商品をそのままに盗まれないんですか?」とたどたどしい日本語で聞いて来たのです。すると当社の女性社員はこう答えました。「日本は安全な国だから心配ないんですよ!・・・」と少し自慢気。  これには外国人も驚きととともに納得していました。外国人は「私たちアメリカではもしこのように担当者がいなくなれば商品も無くなってしまいます。つまりみんな盗まれてしまうんです。日本はすばらしい国ですね!」・・・・と。
東京へ着く前にこんなハプニングに遭遇したのです。
このことがその後私たちの店で活かされたのは言うまでもありません。
ああ!お客様はどこでどんなふうに見ているか分からないんだ・・・ということでした。

名古屋にも松坂屋本店という百貨店、名鉄、阪急、その他いくつかの百貨店はありましたが、東京というブランドは見る意識(構え)も変えてくれるのでその効果を狙ったわけです。

何回かに分けての商店見学。レポートを書くことで更に意識改革には十分でした。それは、そこまでしてくれる会社(店)は今まで聞いたことが無かったからでもあります。
東京まで行かせてもらったという責任みたいなものが自然と芽生えたのは言うまでもありません。

テーマは「どうしたらお客様に喜んで戴けるか」それ一点でした。
品質に対する責任、適正価格という理解と追求、接客を通じていかに満足して頂けるかということ。それは商品陳列からプライスカードの作成に至るあらゆる課題が湧いて出てきたのです。
前回、お客様からの感謝のハガキと申し上げましたが、そうしたことが働く販売員の張り合いとなり、更に上を目指そうとする向上心へスムースに移行できたのです。
実は経営者の求めるところはそこなんですね。しかし、どこの経営者もその殆どが命令口調でそれを求めます。それではやる気には結びつかないということです。
そのことは同じ会社で立証されてよく分かりました。
名古屋市内だけで10店舗近くある訳ですから店は同じはずです。店長も同じ会社の社員です。それなのに日増しに名駅店のカラーは良い方へ良い方へと進んで行きますから同じ会社でもその差は歴然としていました。

大和屋1

いくら一生懸命でもやはりお客様のいないときは世間話がたまに顔を覗かせます。
昨日のテレビドラマがどうだったとか、あそこの洋服が可愛かった等々話しが弾めば弾むほど一瞬夢中になるものです。その姿は完全に店員同士向き合い、顔を見ながらとなります。
そこで私は朝礼時にこんな提案をしたのです。「話をするなとは言わない。しかし、話が弾めば弾んだ分お互いの顔を見ながらということになる。自分では気がつかなくともその時間は一瞬にしてお客様を逃がすか応対のタイミングを逃してしまう。お客様だと気づいてはっとした状態でいらっしゃいませというのはとても失礼だと思う。だから仮に世間話をしたいときはお客様の方を向いて話して欲しい。そうすると、話している最中でもお客様が近づいてくれば瞬時に対応できますね。つまり、お客様だと思えた瞬間に世間話を中止し、いらっしゃいませの態勢が自然と取れるでしょう」と。
これは実に効果がありました。
店に向かって進んで来られるお客様を瞬時に全て掴むことが出来るようになり、お客様から「あの~・・・」と言われることが皆無になったのです。

(つづく)
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岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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