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  テレサテンの心

テレサテン

波島陽子を語るとき、何に例えたら一番分かりやすいだろうか・・・と事あるごとに考える。

ある日、ふと懐かしい「テレサテン」の歌声に耳が止まりました。
釘付けされたようにその画面を見入る自分の心に、「これだ!」 ・・・と確信。

波乱万丈と形容されるように彼女テレサテンはなんと42歳という若さでこの世を去りましたね。

「空港」という楽曲が出たときは日本中に衝撃を与えたそうです。
中国人の両親を持ち台湾で育った歌姫の人生。

それは何にもまして不思議な魅力でいっぱいな歌唱力にあったようです。
人気者になったが故にまだ国際的に認められていなかった台湾のパスポート事件で彼女の人生
が大きく変わった様子を描きながらある特別番組で2時間もテレサテンの歌を耳にしました。

美空ひばりに憧れた天性の歌姫はどんどんその頭角を表すことになりますが、どの歌にも表現の
しようのない魅力でいっぱいでした。
ご存知の文化大革命を経て大きく変わった彼女の人生。

しかし、それは彼女の持つ歌の魅力によって東南アジアや日本にその衝撃を与えた訳です。
台湾の歌、中国の歌、インドネシアの民謡。 どれもこれも彼女の歌唱力で全ての人々がとりこに
なってしまうのが手に取るようにわかります。

非難を覚悟の日本再上陸を待っていたのがくしくも「つぐない」という楽曲でした。
三木たかし・荒木とよひさコンビ(作詞・作曲)に出会うのも運命でした。
パスポート事件から切り離せない日本上陸にこの「つぐない」は大ヒット!!

そして第二弾の「愛人」で初のNHK紅白歌合戦に初出場。
何がすごかったんでしょう!! しかし、このドキュメントを観て分かりました。

彼女の歌唱には日本人が最も大切にしている郷愁があるんですね。 歌謡曲でいて西洋風な雰
囲気を醸し出すまさに天性な歌姫。
観客(ひと)の心に伝わるってどれほど大切なことなのか! テレサの歌声で分かります。
役者のたまごと接していて痛いほどそれが分かりますが難しい。
伝えられる力の凄さが何にも増して大切であることを・・・改めて学びました。

再上陸3部作の3曲目。 これが「時の流れに身をまかせ」だったのです。

10歳で香港に渡ってからその才能を発揮した訳ですが、生涯、「どの国に住んでも私はガイジン
なんです・・・」と言ったひとことが印象的でした。

天性と言っても彼女の生き方で分かるようにテレサテンの人柄がそこにあっての歌声だった訳です。
洋楽を聴いているようで歌謡曲と言えるようにそれぞれの作品全てがとても上品でした。
澄んだ響きとでも言ったら良いでしょうか!? 二度と現れないと言って過言でない天才でした。

谷村新司の「昴」や千昌夫の「北国の春」等々が東南アジアで流行りましたが、実はこれら全て
テレサテンがカバーして歌ったからに他ならないんですね。
それほど多くの国民に与えた影響が凄かったということでしょう。

晩年に、といっても40代前半ですが、「星願」という詩を残していました。

過去を思い出すと
    耐え難く辛い
       世の中の行く末を見返す事は難しい
悩みと詩に著そうと考え込まず
   身近かかろうと 長かろうと
   全ては幼き日に
     抱いた望みのため

私の一生は 雨に打たれるまま
浮き沈みする  浮き草のよう

この世の果てに
  私を理解してくれる人がいるのだろうか

ただ、悲しいのは  歌や舞も
  美しい雲のように 消えていってしまうこと



そう綴っていました。

人の心を掴んで離さない。 歌を聴けばそれがよく分かります。
波乱万丈であったが故の「詩」であり目を通すと涙腺が緩みます。


インド

インドネシアと言えば、波島陽子も東南アジア各国を訪れて多くの舞台を踏みました。

写真はインド(グジャラート)公演のひとコマですが、世界各国から集まったどの国の伝統芸能にも
負けず評判だった舞台でした。

元々は舞台女優としての活動でしたが、舞台に上がれば上がるほど、「日本舞踊」の重要性が分
かり一から古典を勉強して来ました。

しかし、古典を学んだ人はきっと相当数居ると思います。
テレサテンのように、波島の今は「新舞踊」を中心に多くに舞踊愛好家の皆さんにその指導を施し
て来ました。
新舞踊とは、分かりやすく言えば「演歌」であり「歌謡曲」です。
現在、日本各地でこの新舞踊はとても流行っているのは周知の通りですが、そこが波島と違うと
ころです。

歌姫テレサテンを洋楽を聴いているような美しくも不思議な魅力と評価されていますが、まさにこの
郷愁を誘い洋楽を聴いているようなと同じように、波島陽子の作品にはどこか上品で新舞踊なのに
古典や日本舞踊を観ているような美しさに出会います。

心を打たれる最大な原因は、テレサに似てなんとも純粋な人柄があってのことのように思えてなり
ません。
つまり、どんな御託を並べても観る人、聴く人の心を揺さぶるものが無いと、つまり「伝える力」が
ないと成立しない事柄なんですね。

2時間というテレサの特番は私にとって確信に変わる大切な映像(ばんぐみ)でした。

一昨年の浅草公会堂の舞台(燦陽譜)が大きな反響を与えたのは理屈のない事実でした。
純粋に、長いこと古典の先生だった全国各地の日本舞踊老舗の各流派のお師匠さんが、その流派
を超えて評価大絶賛くださるんですから本物でしょう。

勿論、波島の心は誰よりも謙虚で控えめですから自慢などとんでもないことです。
常に、「私より上手い人がいっぱい。 もっともっと古典を教えて頂かないと・・・」 と低姿勢。
そうした姿勢が踊りに現れている。 これこそが人柄でしょうか!?

テレサテンの歌声から分かるテレサテンとの共通点。
これを先日の特番で目に出来たことも大きな収穫でした。

何十曲と聴きながら、「これってなんだろう・・・・」は波島の踊りそのものが、テレサテンの歌唱力に
とっても似ている驚きから今日ここでしたためました。

これは日本舞踊界にとっての財産ですね。

こうした領域等々を知らずに毎日お稽古している波島教室の生徒さん(笑)
もっと自信をもって自分磨きに日々打ち込んでもらいたいなって思うところです。

歌謡曲(演歌)の素晴らしさは「日本の心」の表現に他なりません。
新舞踊(日舞)の素晴らしさも「日本の心」そのものなんですね。

豊かな感性を育み、その人なりのセンス(こころ)をもって日々お稽古に打ち込んで頂けたらと思わず
には居られません。

波島の踊り(動画)は波島陽子のホームページで閲覧可能です。
何かの機会、つまりYouTubu等で是非テレサテンの歌声も聴いてみてください。

そこから感じる歌声は波島の踊りにとってもよく似ています。 いや、波島の踊りがテレサテンの歌声
にとってもよく似ているのかな!?

波島を語るとき、「テレサテン」のようにと形容できる事柄を見つけられてとっても幸せです。

心ほど大切なものはないものね。

プロフィール

岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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