2ntブログ

  GINZASIXと波島陽子 2

舞台写真


さあ、GINZASIX観世能楽堂の舞台出演がまもなくと迫って来ました。

波島陽子圧巻の舞。 昨年からお祝い事が続き、いろんな舞台で祝儀舞を披露して来ました。  いろんな踊り手さんの日本舞踊を観て来ましたが、最近の波島陽子の踊りは言葉を失うほどの感動を受けます。  実際、カメラを向けていた私の手が震えた瞬間。その瞬間と共に観客のみなさんのため息まで聞こえてきます。
身びいきでなく、一人の踊り手として見てこれだけの観客をとりこにする舞いはどこから表現できているんだろう・・・と何度も胸を押さえました。

生徒やお弟子さんにも見せてあげたい。
芸能生活33年を迎え、少しずつ円熟の域に入っているんだろうなと思いますが、本人は至って謙虚。「まだまだ上手い人は沢山います」・・・とその心根には頭が下がります。

日本舞踊に関わっている人なら分ると思いますが、確かに日本舞踊はお金がかかるのは事実です。
ところが、波島陽子日本舞踊教室の生徒のみなさんはひょっとするとまだ気づかないのかもと思う人が多いですね。
素晴らしい舞台で普通の教室の1/3か1/4ほどの費用でみなさんあの豪華な舞台に立てているんです。

家元は商売として教室を運営できない人なんですね。

お金がかかれば若い人が素晴らしい日本の伝統や文化から縁遠くなってしまう。 こればかりです。
ある程度は分ります。  しかし、師匠の心根が理解できるなら、師匠に負けない礼儀作法、優しい心や思いやりを是非身に着けて欲しいと思わずにはいられません。

誰に対しても優しい、感謝を忘れない、全てに愛情を注ぐ、そんな生き方が波島陽子の舞姿に表れていると言って過言ではないでしょう。
時に、頭にくるほどお人好しなところが顔を覗かせます。   こんな女性がこの世に居るんだな・・・・と感心しきり。

冒頭で圧巻の舞台・・・・と言いましたが、言葉は要らないです。
まさに魂の踊り(ぶたい)と言えるでしょう。

今回のGINZASIXの舞台も波島は生徒さんやお弟子さん以上にこの出演を心から喜んでいました。 本当に純粋無垢ですね。
今回、あるプロデュサーから能楽堂の推薦を受けたとき、このプロデュサーは見る目があるな・・・と直感しました。

先日、ある会場である舞踊家の先生との打合せ会があり出席して来ました。
まだ師匠風を吹かしている先生がいるという現実です。
名残りというなら分りますが今のこの時代にです。  でも、考え方を変えて見てみれば、芸の世界はもっと厳しくて当然なんだと思います。
私の知っているプロの舞踊家がこんなことを言ったことがありました。
「私は罵声を浴びせられ、怒鳴られ、意地悪に近い目に遭いながら10年もこの世界を歩いて来ました。だから、私は新人に対し同じように厳しく当たって行こうと思っています。」というのです。  確かに、ところどころ私が居ないと先輩風を吹かすこともありました。

では波島は・・・・と言うと、波島はもっと厳しい時間を長い年月過ごして来たと言います。
でも、私は怒って指導することはしたくない。 自分がやられて嫌だったことを自身の弟子にはしたくない・・・・と考えてみたら100%に近いほど怒らずに指導を続けています。
いつだったか、ある会社の社長らしき男性がお稽古に通っていたことがありました。
わがままで威張っていて本当に困った時期がありましたね。 さすがの波島も我慢は3度まで。 4度目の毅然とした態度はほれぼれするほどでした。 相手の傲慢でわがままな態度に対し、「あなたは日本舞踊を学ぶ資格がない・・・」とバッサリ切り捨てたのです。
それ以来彼が来ることはありませんでしたが、実は内緒で私には「もう一度お稽古できるよう取り計らって欲しい・・・・」との嘆願があったのです。 「先生がそう言うのなら無理ですね・・・・」とお断りしました。
優しすぎることへの甘えですね。 中には授業料を払っているんだからという態度の者もいました。

先生は基本、「来ていただいているのだから」「お金を払っているお客様なんだから・・・・」と我慢する場面もあります。
私はそこでこそ学んで欲しいな・・・と思っています。
いつだったか、指導の話の中で、怒るということは指導力が無いから怒るんだと述べたことがあったかと思います。
波島を見ていて「その通り」・・・・と思いますね。 だいたい、会社の上司や経営者、学校での部活の指導者を観れば分ります。自分が思うようにいかないときにイライラするは日常茶飯事。
指導力があれば怒らずとも教えられるということです。 ただ怖いのは、怒らないのは舐められることにつながる可能性もあるということです。 ここが難しいところでしょう。

勿論、家元に感化されている人の方が多いです。
そうした人たちはやはり伸び方が全く違いますね。  私はそうした観点からも生徒さんやお弟子さんを見て今回のような舞台への推薦方法に役立てています。
「上手いから出れる」・・・・、それは基本大切なことです。  しかし、礼儀作法や感謝の心、何よりも打ちこむ姿勢。一生懸命が報われる選び方にも心を砕いています。
つまり、踊り(ぶたい)の良し悪しは学ぶ姿勢が一番の評価対象だからです。 勿論、あるレベルまで到達出来ていない者はなかなか合格点はもらえません。

波島の根底にあるみな平等の中で、少しでも張り合いであったり励みになったり、夢の実現への姿勢等々をしっかり理解しながら舞台に上げたいと思う訳です。
今回の能楽堂は新人は難しいと思って当然の舞台です。  しかし、今回2名の新人を選びました。ここでは、まだ波島は全く知りません。  私とのキャッチボールの中で気づかされることはたくさんあります。

すなわち、日本舞踊を学ぶにふさわしい心根を持っているということです。 ただ、そうは言っても飛びぬけた心根を持っていないと舞台はダメになってしまいます。  それほど私はしっかり把握しているんですね。

今回の能楽堂の舞台。 師匠の一挙主一動を見逃さず学んで欲しいと願わずにはおられません。
つまり、それこそが師匠波島陽子の心(せかい)だからです。

世の中に、集大成という言葉がありますが、踊りを習うことも大切ですが、ここでは師匠波島陽子の心根を学んで頂ければ合格です。

大きな舞台になればなるほど観客数も増えます。
その殆どがため息をつくような舞台。 それこそが芸術だと思います。

今回、是非その素晴らしい舞台をその目に焼き付けて頂けたら嬉しいですね。

そうした意味でも今回のGINZASIXの舞台は意味があり意義があるんですね。
私たちは本気で日本の伝統文化を継承して行きたいと願っています。

この素晴らしい舞台での出演を契機に、一人でもそうした思いが伝わってくれたらGINZASIXの舞台に立てて良かったと言えるんだと思います。
ものごとに向かう姿勢こそ波島から学んで欲しいと思っています。





プロフィール

岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
チーフ・プロデューサー
演出家

最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード