幸せ探しの部屋

事例２　寮生とタクシー運転手
　新入社員だけでなく寮生にも「挨拶の大切さ」を何度も説きました。販売に携わる者として相手に届く挨拶は課題でしたからその研修には相当力を注ぎました。
当時女子寮は愛知県西春にあって仕事の帰りは名古屋駅から名鉄で犬山に向かって15分ほどの西春駅で降ります。寮は田んぼの真ん中、閑静なところにありましたが歩くと20分ほどで朝は団体だから良いのですが残業での帰宅は１人２人と少なく夜道が真っ暗で危険なため当時会社は全員がタクシーで西春から寮まで帰ることになっていたのです。
寮生はみな若く複数だとそれは賑やかです。タクシー会社には理由（わけ）を話してあり安全にお願いしますとはお願いしてありましたがやはり心配もありました。当時出来たばかりの女子寮はまるで御殿のように可愛らしく裏庭はテニスコート一面を配せる広々とした女の館でしたが、一時期下着泥棒に入られるなど心配もありました。
会社の方針だからと彼女たちは非常に簡単に考えている節もあり、そこで考えたのが挨拶の徹底でした。研修時に説いたのは、「みんなは当たり前のように西春寮までとタクシーに乗り込むんだろうけどお客様だなんて気分で利用しないように。まず大切なことは挨拶だから！」と。丁度研修期間中だったので深く掘り下げた挨拶についてです。「みんなも挨拶は人のこころを開く鍵っていうから体験してみたらいい」と挨拶を徹底させました。
　　１．今晩は！いつもありがとうございます。寮までお願いします・・・。
　　２．お疲れ様です。宜しくお願いします。
　　３．こんにちは！中日が勝って良かったですね。
等々笑顔を添えて、送って頂くことに感謝を込めて降りるときも「ありがとう」をしっかり。強いて言えば会社のイメージにもつながること。もっと言えばこんな女性と結婚したいななんて求婚されるかもよ！と言うような研修でした。
そしたらどうでしょう！１年半も過ぎた頃、先輩格のみゆきさんがそのタクシー会社の運転手さんと結婚することになったのです。もう驚きで当時は怖い気もしました。みゆきさんは名駅店担当でお客様にも評判の明るい性格の女性だったのです。「店長！ありがとうございました。店長のお陰で素敵な人に出会いました。幸せになります。挨拶は心を開くって本当ですね！」。彼女は３人の子宝に恵まれ幸せに暮らしています。（つづく）

■　人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
■　【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。（毎日掲載しています）