幸せ探しの部屋

事例７　食品工場の研修会で
　新潟県北魚沼郡にある食品工場に招かれ従業員教育の一環として講演をさせて頂いたときのことです。
機械を止めることができず２日間に分けて約90名ほどの皆さんが対象での研修は年齢的に40歳以上で比較的ご年配の方が多い作業場でした。
工場の専務に依頼されて出かけましたが、テーマは「生産性を上げるには」と言うことで経営陣にとっては一番大切な内容でした。いくつか話した中に「挨拶」の項目も入れてお話をしましたが、一番効果のあったのがこの挨拶の部分です。
みなさんは挨拶なんて当たり前じゃないか・・・と思っていたようで最初は簡単に考えたのでしょう！すかさず私は男性従業員に聞きました。「星野さんは帰宅すると大きな声でただいまと言いますか？」、「村井さんは朝起きて隣りにいる奥さんにおはようと言いますか？」、「エッ俺が女房にかい？・・・言わないよ・・・！」。当然おやすみも言わないんだそうです。「それでは聞きますが村井さんはお子さんにおはようやおやすみと言わせますか？」、「何でそんなこと聞くの？当たり前じゃない、小さい時が大事なんだから・・・」と挨拶しなさいと言っているそうです。「村井さん！おかしいじゃないですか？自分は挨拶しないのに子供には挨拶しろって変ですよ・・・！親の背中じゃないんですか？」。会場は大爆笑！
奥さんと知り合った頃を聞くと当然挨拶はぎこちなくともしたと胸を張ります。今では「何で女房に？何で俺が？」。それと同時にご主人の機嫌で家の空気が変わることのないように穏やかな空気の必要性等を説きました。
「ただいま！・・・、なんだ飯の準備（したく）はまだなのか？そんなら久しぶりに手伝うか・・・とでも言って腕まくりでもしてみてください。奥さんの気持ちの変化を見れますよ。そして布団に入ったらおやすみと言ってください」。
そんなこんなの研修の翌日、最後に聞いてみました。「どうでしたか？実践の課題に挑戦できましたか？」と。すると「効果あったあった！」と３名から手が上がりました。最初はどうしたのお父さん？、から始まりましたが機嫌の良くなった奥さんからお酒１本余分に出たと大笑い。そして何より寝室が新鮮だったね～と大爆笑。
相手のことを思いやる心で挨拶を交わす。食事の箸を取ってもらってありがとう。こうした言葉や心のキャッチボールは家庭だけでなく職場での作業効率を上げることに大きな効果があったそうです。挨拶はおはようやこんにちはだけが挨拶ではないと言うことです。そこで生産される商品は美味しいと評判で現在では全国で販売され続けています。（つづく）

■　人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
■　【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。（毎日掲載しています）