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 さよならの季節

今の若いみなさんは「寝台特急」なるものに乗ったことがあるのだろうか?
卒業のこの季節、上野駅と金沢を結んできた寝台特急「北陸」と夜間急行「能登」が、13日のダイヤ改正でとうとう廃止に追い込まれ、平成22年3月12日夜ラストランを迎えた。
なんと上野駅には前年3月に廃止された寝台特急「富士・はやぶさ」のラストランに並ぶ3000人のフアンが押し寄せたそうだ。テレビで見る限り異常とも思える撮り鉄(カメラマン)の光景。同時に金沢のホームも凄かった。
蛍の光が似合うこの光景に若者の「ありがとう~」の姿は異様でもあった。「50年間ありがとう!」、そうか、50年にもなるのか?私も新潟から大阪まで寝台を利用したことがあるので、その想い出は鮮明に覚えている。楽しかった。不思議と温かい旅行が出来たことを覚えている。修学旅行だったからその賑やかさは格別。
夜行列車でなくとも、いわゆる昔の汽車は各駅に止まり、座席ごとに窓が開けられ、駅弁を買う楽しみも大きかった。特に子供の頃の想い出だけに今では郷愁にも似た大切な宝物になっている。
全てに便利が先で、心というものをどんどん置き去りにしてしまっているのも現実だ。
生涯に、金を残すは三流で、人を残すは一流と言われるように、今一番大切なことは、出没する便利と闘うことではないだろうか?今回の能登や北陸にしても、みな廃止になるまでにどれだけ利用したのだろうか?
結局、速い新幹線等を利用し、知らない内にみな心を置き去りにしている一員のように思う。
私が以前、福島県の山奥にある温泉に出かけたときのこと。とっても素敵な囲炉裏やかやぶき屋根等々に感動し、「いつまでも大切にしてくださいね!本当に素晴らしいです!心が安らぐもん」と地元の人に話したことがありました。すると男性は「たまに来る人は良いけんど、やっぱしサッシの戸やガルバリューム(屋根の素材)の屋根の方がなんぼかいい」とどんどん都会風の建築様式になっているのです。
日本の素晴らしさを普及したいと、日本文化の普及に関する仕事をしていますが、難しいことは事実です。
これはやはり国を挙げて取り組まなければならないほどの問題のように思いますが、それでも若者の中には、一生懸命日本の心に触れている人たちもいるんです。
「能登の写真は一生の宝物。棺桶まで持って行きます」と名残を惜しむ人たちが居るくらいだから、大切なものが消えないようにもう一度「便利さと心」という部分を考え直してみて欲しいように思います。
素晴らしいものや歴史を失うようなさよならは嫌ですね。

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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