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 心の持ち方 Ⅹ-1

静かに横たわった姿はとっても安らかに見えました。「消毒をしたら箱に入れておきますので後ほど引き取りに来てください」と医師に言われ一端外に出たものの車の中で涙が溢れ出てしばらく動けません。柵を開けた瞬間、大好きな公園に駆けていった彼を探しまわったこと、シャンプーで体を洗ってあげると嬉しそうにうっとりした顔を見せるその瞬間、ビスケットを持って犬小屋に近づくと待ってましたと背伸びをする姿。数え上げたらキリがないほどの思い出が甦ってきました。埋葬が済んで彼の小屋を綺麗にした後しばらくその柵は開けず小屋の前に小さな花小鉢を飾ってあげました。やっぱりしばらくは私の心も沈みがちでした。その後社員が「この花誰が飾ったの?」と聞いたとき、「そんなの専務くらいしかいないじゃん!」と息子が吐き捨てたそうです。あとでそれを耳にして愕然としました。こういうときこそ本音って出るんだと思うと淋しさだけでした。その後、子犬が7匹も生まれ、飛びまわれるくらいになるまでその可愛さも手伝って仕事もはかどりました。子犬って本当に可愛いものです。ところがある時期になると1匹また1匹と子犬の姿が見えなくなりました。最初は「社長が誰かにあげたんだと思うよ!」との声に「そうなんかな・・・?」。ところがとうとう最後の1匹がいなくなるまで社長からその経緯を知らされることは一度もなかったのです。全て欲しい人に上げたようです。勿論悪気がある訳ではありません。つまり人の心が分からないということです。商売での顔とこうした顔、どこにでもある光景でしょう!その会社の従業員ですから心の持ち方を先に説くのは正解だと思っていました。
まだ私がこの会社にお世話になる前にその息子に彼女を紹介してあげようと気立ての良い可愛いお嬢さんとのセッティングを4回ほど試みました。サファリーパークやボーリング、カラオケや食事と。社長の息子で生活もきっと楽でしょう・・・と素直そうに見えた彼に良い結果を期待しましたが結局彼女は何か物足りなさを感じたのでしょう。彼の条件なら文句はないと思えたのですが彼女の相手を見る目は確かでした。「すみません!彼に魅力を感じなくって・・・!」、それは私が入社して初めて彼の本性が分かったのですが彼女の方が一枚上手だったのかも知れません。自分の将来のこと、本気で考えることは当然です。社長の息子という看板に酔わなかった訳ですから正解でした。家内も本当に一生懸命でしたが、一度としてありがとうがなかったのもなるほどと思ったわけですから残念としか言いようがありません。
つまり、相手を紹介するということは非常に責任があります。勿論紹介後は本人同士の問題かもしれません。しかし、人間性とか価値観や育った環境というものも決して無視はできません。婚活という名の元で商売をしている企業もあります。私がこうして「心の持ち方」等、婚活の前に知っておいて欲しいことや学んで欲しいと願うのはその相手次第で幸せにも不幸にもなるからです。 (つづく)
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岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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