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 友だち以上 恋人未満 6

名古屋へ行ってからの話は、別のエピソードで沢山登場しますが今回は川崎の織田さんとのその後を最後までまとめておきましょう。
演劇は趣味の中で夢中になっていましたが、百貨店勤務にもうひとつ物足りなさを感じ、縁あって名古屋の老舗にお世話になることで全て一からのスタートとしたのです。店は呉服屋と間違えるほどの老舗の構え、この会社で何でもやってやろうの精神で張り切っていました。
製造工場の下積み修行は6ケ月弱で卒業し、入社の翌年1月11日に名古屋支店の店長として一番の繁盛店に就任することになりました。覚えることの多さは相当のものですが、一流の会社で一流の仕事が出来ることに魅力とやり甲斐を感じ私は無我夢中で頑張っていました。
就任して1年少しした夏のことです。お中元商戦も一段落し私は出張で東京支店に2日ほど出掛けました。東京店の愚痴オンパレード店長と夜一杯飲みに出かけたときのことです。「どうだい!名古屋で可愛い子でも見つけたかい!」いろんな話の中で出たひと言でした。「出来ませんよそんなの・・・」と本当のことですから間髪置かず答えました。「そうそう・・・・」と私は東京を発つ前に劇団の友だちとの話を切り出したのです。「そうかそんなことがあったのか・・・・!」。私もすっかり懐かしい話に酔いも手伝って少しずつしっかり話しました。「ということは入社少し前だから丁度今頃なんだ???、ちょっと待って待って?8月2日って明日じゃない?」。
そうなんです。偶然も偶然、翌日が丁度2年目の8月2日でした。「まさか・・・?もう僕のことなんか忘れてますよ!、第一あれだけ可愛いんだもん周りも放っておかないだろうし・・・」。話しているうちに急に不思議な興奮と動揺にかられその当時のことがまるで昨日のことのように浮かんできたのです。
ホテルに帰って何故か気になって眠れずにいました。翌日、そんなことないと思うけど・・・、そう思いながら約束の4時頃私は川崎に向かっていたのです。 「あれからだから彼女は今年が社会人1年生なんだ」。ぶつぶつつぶやきながら懐かしい喫茶店の見えるところまで到着すると、駅の大きな柱に身を寄せました。会いに来たわけじゃないからです。時刻は3時40分を少し過ぎていましたが、会社に勤めたんなら来れないか・・・?、自分勝手にいろんな想像をはじめます。懐かしいな~・・・、それほど周りに変化は見られません。4時を少し過ぎました。「そうか!来るわけないよな!」、なのに時間が過ぎても帰ろうとしない自分がそこにいました。万が一、来たらどうするんだ。自分にその気があってここに来たわけじゃにのに。
4時10分ころでした。?????、もしかして・・・・?、社会人になった彼女です。間違いなく美ちゃんです。薄化粧でしたがすっかり綺麗になった彼女が約束の場所に現れたのです。(つづく)

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岡部俊雄

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