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 青春の夏

「兵庫県から今春上京しました」20代前半の彼女はひまわりのように輝いていました。
来年の宮本亜門作演出の作品(オーディション)を受けるのだそうです。この作品は日本舞踊が出来ることが条件らしいのですが彼女はどうしても合格したいのでと舞踊教室に飛び込んできました。
多くの生徒さんの動機を聞く限りにおいては本当に驚かされますね。つまりしっかりと目標を持った若者が多いからです。
前にも話しましたが、時間があるから習いごとができるかと言うとそうではないのです。目標の為にいろんなことに挑戦している。要するに忙しい人ほどしっかりと習いごとに向き合っていると言うことですね。
ただ、日本舞踊の場合は1ケ月や半年お稽古したからと言って舞台等で即役になど立ちません。学生時代に体操をやっていて感じるのですが、先輩の宙返りを見て憧れました。「あんな風に宙返りや大車輪ができるといいな・・・」と努力したものです。
いつか宙返りが出来る日がやってきます。大車輪が出来た日は今でも覚えています。何度も何度もマットに叩きつけられ擦りむいたり捻挫したりはしょっちゅうです。しかしただ宙返りが出来たと言うだけで試合になど決して使えません。綺麗でない、美しくない、安定感がない、高さが足りない、着地が不安定。
そうなんです。その技は以上のようなことが出来て初めて試合で使えるのです。その為にどれほど苦しい時間を費やすか計り知れません。そして尚試合にエントリーできるのは限られた人数です。先ほど終わった高校野球もまさしくそうなんです。ベンチに入れるのは25人。部員は70名も80名もいます。
日舞とて同じことです。芸の道は更に奥の深いもので見ている人を感動させられるレベルでないと決して舞台になど立てるものではありません。
見学に来られる生徒さん(入会希望者)は先生の踊りを目を皿のようにして見ています。興奮が感動に変わり自分をその舞台に置き換えて夢を見ます。
自分を磨きたいとしてお稽古している生徒さん!将来舞台やスクリーンでの活躍を夢みて通って来られる生徒さん。どちらも決して差別や区別をして指導はしていませんが、プロにはプロとしての厳しさと自覚を促しながらお稽古が繰り返されています。
若者の情熱は青春時代そのものです。将来いつまでも語れるような青春の夏にしてもらいたいと祈って止みません。失敗という言葉を口にする人も多いように思いますが、転んでもいい失敗なんか恐れずにしっかりと青春の汗をかいて欲しいですね。

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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岡部俊雄

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