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 運命はこうして決まる 6

「お母さんに車を買ってあげたい!」「これから楽をさせてあげたい!」「どんな時も持ち前の明るさで僕の夢の応援をしてくれた」・・・・ドラフト会議の結果に多くの選手は涙ながらに感謝の気持ちを伝えていた。
見ている私まで熱くなり溢れ出るものを抑えられなかった。大会になると仕事を休んで球場へ息子の応援に出かけた母親の姿はそれぞれにとてもドラマチックに報じられた。
ドラフトにかかるだけでも凄いことなのにそれも各球団から1位指名された若者の努力は半端ではなかったと思う。高校生、大学生、社会人の中から選ばれた金の卵。昨今は育成枠から這い上がってきた兵もいる。3ケタの背番号が2ケタになって泣いた。だから規定に洩れ育成だからと言って決して諦める必要はないのだ。
特にジャイアンツが単独指名した中央大学の沢村投手は高校時代まったくの無名だった。勿論大学に上がるまでは私も知らなかった。
それが大学4年間で誰にも負けない大学No.1投手になったのだ。他人の真似ることの出来ない努力に裏打ちされているようにしっかりと鍛えあげられた強靱な肉体こそ努力の証。
考えてみれば私も決して体が強い方でなく身長も無かった。強くなりたい・・・と高校に入学すると同時に柔道で鍛える決意をした。入学当時の春新入部員を勧誘する学内の動きの中で柔道部の道場に向かった。ところが途中にまるでサーカスの練習をしているような光景に出会った。それが体操部だ。近所の先輩に声をかけられまるで騙されるが如く猛烈な勧誘を受けた。つまり身長のない私には体操向きだったらしい。その証拠に入学時の全校朝礼ではクラスで殆ど一番前に並ぶほど身長が低かった。
入部してもっと驚いたことは同じく入部した同級生はすでに中学生時代から体操部で活躍し私が前転をして目が回っていたころに彼等は既に後方宙返りなどをいとも簡単にやってのけていたのだ。もう比べる比ではない。当然意欲は下がってしまう。
そんなとき、声をかけてくれた先輩の一言でやる気が湧いてきたのだ。「高校と中学の違い、それは平行棒やあん馬、吊り輪といったように中学には無い種目がある。耐久をこなし脚力や腹筋、腕力や握力でどうにでもなる」と言われたのだ。2年生の5月、つまり1年後だ。私は約700名が走った男子校内マラソン(10,000m)で17位に入った。走った中に各運動部の選手クラスが一緒だったのは言うまでもない。17位がどんな位置にあるのか。当然体操部の先輩(3年生)全てに負けなかったのだ。
その自信からかスポーツは本当に好きでとことん走りまくった。現在まで病気ひとつせず健康でいられるのもしっかりとした努力があったからだと思っている。35歳くらいまではバック転をし握力がなんと70kgを超えていたのが何よりの証拠だろう。

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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