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 悲しい勘違い(ジョークの悲劇)

英国BBCテレビのお笑いクイズ番組が昨年12月、広島と長崎で二重に被爆した山口つとむさん(長崎市出身、昨年93歳で死去)を「世界一運が悪い男」などとジョーク交じりに紹介した話が明らかになった。番組プロデューサーは「日本人の原爆問題に対する敏感さを軽視した」と釈明しているようだがこれは大問題だ。
いくら英国の首相が国を上げて被爆者に弔意をなどと述べたとしてもこうした公的な場で活動するものがこのような大失態を犯していては弁明の余地もないだろう。
思いやりにも欠けむしろ無神経と言ってもよい。お笑いタレントが我がもの顔で番組をジャックしているのは何も英国だけではない。日本でも実力ある役者(俳優)や学者、政治家(著名人)を笑いと称していじりまくって番組がなり立っている傾向がある。
私も笑いは人一倍好きな方だが、そこにほのぼのとした面やおもいやりがあって初めてお笑いの真価が問われるのではないだろうか?
どんな人間でも毎日テレビに露出していれば誰もが有名人と錯覚もする。もし日本にもNHKという放送母体が無かったらメチャメヤになってしまうのではと懸念することさえ多い。
人に大切な三大要素と言って「ユーモア」「ウエット」「ジョーク」がある。心の楽しさもそれぞれ違う。
昔TBSの朝の報道番組で何でもありの放送体質にクレームがつき「芸能レポーター」が登場するような番組が一時消えたことがある。今でもそれは少し引きずられているようにも見えるが報道の自由と言って著名人の私生活に至るまで報道する局はまだ後を絶たない。
そんな光景が見られる生放送があった。知っての通りお笑いタレント間寛平氏が昨日地球一周完走を成し遂げ、とうとう出発地の大阪・なんばグランド花月にゴールしたときの模様だ。
ご存知のように彼は2008年12月17日に同劇場を出発してからなんと766日目。道中で発覚した前立腺がんと闘いながら、総移動距離なんと4万1040キロを駆け抜けたのだ。
そのとき会場でマイクを持っていたのが今やひっぱりだこの有名お笑いタレントだった。私は彼のことどちらかと言えば評価もし素晴らしいと思っていた。また番組も好んで見てきた方だと思う。しかし、どちらかと言えば彼の笑いをユーモアとは言わない。日本語で言えば冗談のオンパレードだ。つまりそれをジョークというんだろう。
私の息子も大きくなったら彼の弟子になりたいと言っていたほどだ。
ゴールしての様々なセレモニーであったのだろう!この進め方を見ていると前述のBBC放送のお笑い番組とすごく似ていることに気づく。
どんなときでもお笑いを取ろうとするのは、ある場面に限ってはそれが失言であったり見ている者、聞いている者を失望させせっかくの場面をその者(司会者)のために台無しにされてしまうのだ。
進行役があまりにも有名すぎて、あまりにも大御所すぎて周りは何も言えない。それを取り仕切るプロデューサーさえ何も言えないのだろう!寛平氏の興奮や達成感が分かるだけにあの場面に他の方法で進行できる者を配して欲しかった。よく頑張ったと拍手を贈りたい視聴者との間にあのおふざけは似合わない。
会場にいる他のタレントだってそう思ったに違いない。もし彼に人としての思いやりがあれば決してこのような批判など無いはずだ。だって素晴らしいフィニッシュだったのだから。

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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岡部俊雄

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