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 感謝の気持ち 4

特にお歳暮やお中元の時期になるとその商戦合戦の中で素晴らしいコピーを見ます。「お世話になったあの人へ」とか、「感謝の心を添えるなら」とか、本当にその通りですね。
しかし、最近はその行為に空虚な気持すら感じることがあります。例えばお世話になっている取引先にお歳暮を持ってご挨拶に伺う。社長が直接届けるのではなく部長や課長が代行して伺うことは非常に多くなりました。
届ける側の社内を覗くとその殆どが事務処理されています。
こんな場面に遭遇したことがありました。千葉県のある優良企業の社長が新任したときのことです。取引先の社長に紹介するからと常務に言われた部長、専務、社長の3人はさっそく出かけました。ご挨拶までは良かったのですが、新任社長との短い挨拶が終わるとそこの常務は昼食を一緒にということで近くのお蕎麦屋さんに向かいました。日頃親しくして頂いていたのでいつものようにごく普通に席に着きましたがそれからが大変でした。いきなり雷が落ちたのです。常務から挨拶に伺った社長に対してです。
「お前はどういう神経をしているのか?」とまるで子供を叱る以上の厳しい言葉が次々と浴びせられたのです。つまりこうです。挨拶に伺った際に新任のお客様(社長)に手土産を渡したのですが、社長に言われて部長が渡しました。それが失礼だと言うのです。「お前は何様でいるんだ・・・」まで言われました。「心を示すのは社長自らじゃないのか」と言うことです。
常務の発言はもっともでした。先ほど事務処理と言いましたが、金額は3段階に分かれていてAクラスが当然高く、B,Cとなります。自動的に決まったお客様への挨拶はそのいずれかを持って担当者が伺います。おそらくどこにでもある光景でしょう。受け取る側もきちっとしたところは帳簿か何かに記録されており後で社長が或いは役員が目を通す。
特別な商品(贈り物)以外は社長の目には触れない。年中行事だからやっているのであって・・・?そういうことです。
間違いなく感謝の気持ちなど届けようがありません。ビール等は重いのでと三越百貨店の商品券2万円相当を取引先の社長に直接届けたときの話は凄かったですね。玄関で立ち話、おまけにお渡しした商品券は受け取った社長が下駄箱の上にぽいと投げておいたのです。「あっそう!ありがとうありがとう」と添えてです。軽いありがとうだったでしょうね。届けた彼は中身を知っていますから相当驚いたようです。
渡す側、受け取る側、心が無ければこんなものです。贈り物は物が先でなく心が先でしょう。慣習だから渡すのではなく感謝の時期をお歳暮に合わせたらどうでしょうか?(つづく)

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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岡部俊雄

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