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 素晴らしい日本の文化の担い手

挨拶新

毎年デンマークに行く親善大使たちへの日本舞踊指導を請け負って今年で11年になります。
平成で10年。令和1年目とも言えますね。

デンマークと姉妹都市提携を結んでいる台東区が都内の学生(中学)諸君を毎年親善大使として夏休みに送り込んでいます。
その文化交流の一環として日本舞踊を現地で披露するというものです。

勿論群舞となりますが毎年新しい作品を披露する為に振付師波島陽子が奔走して来ました。
踊りに関係した人なら判ると思いますが、17名編成で合計5時間で仕上げると言う気の遠くなるような作業。


最初の年に立ち会ったとき、5時間でなんか仕上がるんだろうかと恐怖でさえありましたね。

写真のように、着物での挨拶から始まりますが、着付け、たたみ方を入れての5時間です。
選ばれた精鋭ということもありますが、真剣勝負そのもの。おそらくこれを引き受けられる指導者はまず他の先生では不可能に近いと断言できますね。

日本の文化や伝統を・・・、この若い学生(中2)にどう伝えたら良いのか・・・・。 毎年毎年迷いながら今年もその日を迎えました。
挨拶も、日舞も、基本心なんだ・・・と語ってもほんの10分ほどのレクチャーではなかなか伝わりにくいのでは・・・・とついつい本気モードで語ってしまう私。

「分かりましたか・・・・!?」と投げかけて返ってくるのは小さな返事・・・・「はい」・・・・と。すかさず「聞こえません」と大きな声で返します。これが2~3回続きます。  緊張する生徒は顔色で分かります。しかし、本気で伝えなくてどうして伝わる。これは信念にもなって結果5時間が終ると非常にキビキビした態度で行動している様子が目に飛び込んで来ます。

8月の末に1週間の渡航を終えて帰って来るのですが、それから1ケ月。 9月に体育館での報告会に招かれ、その成果報告を耳にします。 まるでひと皮もふた皮もむけた元気の良い親善大使の様子を目の当たりにし、目頭が熱くなるんですね。

日本の伝統は美しい。 日本の文化は素晴らしいことを肌で感じてきた学生たち。 価値ある経験だと思います。

本当のことを言うと、最初11年前にこのお話を受けたときはお断りしようかと思ったことを今でもハッキリ覚えています。
「17名の生徒に5時間で日本舞踊を仕上げて頂けないか!?」・・・  1日1時間で飛び飛びに5日間(合計5時間)。
身長がどうなのか、元気の良い子おとなしい子。こうした芸事が苦手な子。様々なはずです。
お話を頂くのが6月。 研修(お稽古)が始まるのが7月夏休みに入ってから。

しかし、ただその日を迎えるわけではありません。 決定になってから波島はその作品を17名編成で振付けをする作業に入る訳です。
雷門の通常稽古は生徒さんが80余名。 その他全国から依頼されている新作の振付作業。
ただただ頭の下がる思いです。 最初この企画を承諾させて頂いたのは、ある当該学校の校長(団長)先生の情熱でした。
あの情熱に私も波島も絆されたことは事実です。 当時はその夏1回と思っていましたからね。
それが令和もお受けすることになったのです。

この指導がどれだけ大変で過酷なものか、しかし若者が少しでも日本の伝統に触れてくれたらと波島は11年目に突入しました。
一般のみなさんにはなかなかこうした光景(写真)にはお目にかかれないと思いますが、今年嬉しかったのは随行する諸先生も監督というのではなく写真のように生徒たちと一緒になってお稽古しているということです。

ホームステイにでも行かないとこのようなご挨拶をする機会は無いかもしれませんが、心をこめて挨拶することから指導している心根が今年もまたこの学生たちに伝わることを祈っています。

日本の美しい文化は「心の持ち方」にあることが分かって頂けるだけでも意義があると信じあと4回に挑戦します。

波島陽子の一途な愛情があってここまで続いていることにただただ頭が下がります。

写真は初めての挨拶です。 これがデンマークから帰ってくるころは、自信に満ちた挨拶が身に着いているんですからその時ばかりは指導者冥利につきます。

私たちにとってはこの研修が「夏の風物詩」となっています。












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岡部俊雄

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