母は一本杉で泣いていた
・ 私がまだ幼かった頃、もの心がついてかこんな質問を父になげかけたことがあった。
「父ちゃんはどうして母ちゃんと結婚したの?」、すると父は少し笑いながら「それ
はな,お母ちゃんが隣町の一本杉で泣いていたからだよ・・・!」???
そしてこう付け加えた。 「だからかわいそうで家(うち)に連れてきたんだ!」
「フーン!」 信じた。
・ それから同じことを質問することはなかったが本当のことを聞くことはなかった。
きっと、戦時中だからお見合いだったんだろうと思っている。
でも父は得したな! それほど母は自慢の日本美人だった。
だからでもないだろうが、両親が喧嘩をしたところを一度として見たことがない。
それどころか人望があって、仲人を頼まれた数はとっても多かった。
夫婦仲がねじれた人が相談に来てうまい具合に諭され最後は母の手料理で一杯飲ん
で笑い声さえ出る始末。
・ 諭された方は納得して帰ったのだろうか? でも笑って笑って楽しそうだから、
きっと解決したんでしょう。
・ こんな場面も記憶しています。 三軒隣りの藤井さん宅になかなか結婚できない長
男がいました。 彼の両親は私の母に「どこかにいい娘(ひと)がいないもんかね~」
とお茶飲みに来ては話していたのを覚えています。
子供ごごろに覚えていますが、真面目は真面目なんだけど少し変わったところがあっ
て、とても女性にモテるタイプではなかった。
顔の広い母がそれとなく気にしていたのでしょう。 魚屋に勤めていたぽっちゃり
と可愛い系の女性とお見合いさせることになった。 男性が30歳くらいで女性が26歳
くらいだったと思う。
事実上お見合いなんだけど、気楽にと私の家の茶の間で会うことになった。私たち
子供等は邪魔だから2階に行って出て来ないようにと言われた。
来るな見るなと言われると見たいもんです。 2階の障子を指をなめて穴を開けたあ
のスリリングな情景は今でもはっきり覚えている。
しばらくすると男性は一人でやって来た。 当然かなりの緊張と興奮は子供の私にも
伝わってくるから不思議。
「こういうことは面白いね~・・・!」心でそう感じていた。
緊張をほぐそうと私の両親も笑いながらも一生懸命だった。
しばらくして、「こんばんは・・・!」と女の人の声が響いた。 (続く)
「父ちゃんはどうして母ちゃんと結婚したの?」、すると父は少し笑いながら「それ
はな,お母ちゃんが隣町の一本杉で泣いていたからだよ・・・!」???
そしてこう付け加えた。 「だからかわいそうで家(うち)に連れてきたんだ!」
「フーン!」 信じた。
・ それから同じことを質問することはなかったが本当のことを聞くことはなかった。
きっと、戦時中だからお見合いだったんだろうと思っている。
でも父は得したな! それほど母は自慢の日本美人だった。
だからでもないだろうが、両親が喧嘩をしたところを一度として見たことがない。
それどころか人望があって、仲人を頼まれた数はとっても多かった。
夫婦仲がねじれた人が相談に来てうまい具合に諭され最後は母の手料理で一杯飲ん
で笑い声さえ出る始末。
・ 諭された方は納得して帰ったのだろうか? でも笑って笑って楽しそうだから、
きっと解決したんでしょう。
・ こんな場面も記憶しています。 三軒隣りの藤井さん宅になかなか結婚できない長
男がいました。 彼の両親は私の母に「どこかにいい娘(ひと)がいないもんかね~」
とお茶飲みに来ては話していたのを覚えています。
子供ごごろに覚えていますが、真面目は真面目なんだけど少し変わったところがあっ
て、とても女性にモテるタイプではなかった。
顔の広い母がそれとなく気にしていたのでしょう。 魚屋に勤めていたぽっちゃり
と可愛い系の女性とお見合いさせることになった。 男性が30歳くらいで女性が26歳
くらいだったと思う。
事実上お見合いなんだけど、気楽にと私の家の茶の間で会うことになった。私たち
子供等は邪魔だから2階に行って出て来ないようにと言われた。
来るな見るなと言われると見たいもんです。 2階の障子を指をなめて穴を開けたあ
のスリリングな情景は今でもはっきり覚えている。
しばらくすると男性は一人でやって来た。 当然かなりの緊張と興奮は子供の私にも
伝わってくるから不思議。
「こういうことは面白いね~・・・!」心でそう感じていた。
緊張をほぐそうと私の両親も笑いながらも一生懸命だった。
しばらくして、「こんばんは・・・!」と女の人の声が響いた。 (続く)
文字色文字色