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 雑学 雷の子と和尚さん

みなさんは怖いことが起きたときに、「おお!くわばらくわばら」という話を聞いたことありませんか?
桑原とは勿論地名で実在しています。大阪から福知山線で三田(さんだ)駅で降りるとそこが桑原の地です。徒歩12分くらいで曹洞宗「欣勝寺(きんしょうじ)」に到着。前回お話をした道元禅師が名付けた寺だそうですが、ここに素晴らしい民話があったのです。ほのぼのとした話ですから紹介しましょう!

むかしむかし、天の上で雷(かみなり)の親子が雨をふらせようと、太鼓(たいこ)をたたいておりました。子供の雷は大張り切りです。どんどこどんどこと太鼓をたたいては、いなづまをぴかぴかと光らせておりました。
「こらこら、そんなにめちゃくちゃにたたいたら、危ないぞ」、雷の親はたしなめましたが、子供の雷は言うことを聞きません。 「それ、それっ」どんどこどんどこ。調子にのって太鼓をたたいては、あちらにざあざあ、こちらにざんざかと雨をふらせるありさまです。そうしているうち、張り切りすぎた雷の子は、雲の切れ目で足をすべらせて、人間の世界へまっ逆さまに落ちてしまいました。

欣勝寺の古井戸

雷の子は、桑原(くわばら)にある欣勝寺(きんしょうじ)の古井戸(ふるいど)に落っこちました。ちょうどお勤めをしていた和尚(おしょう)さんは、ものすごい音をたてて落ちてきた雷にびっくりして、本堂から飛び出してきました。すると、井戸の底から「助けてー」という声が聞こえてきます。
和尚さんがのぞきこんでみると、井戸の底で雷の子が泣いています。あちこちに落ちては火事をおこしたり、人間のおへそを取ろうとしたり、悪さばかりする雷です。少しこらしめてやれ。そう思った和尚さんは、大きな木の板で、井戸にふたをしてしまいました。井戸の中は真っ暗です
雷の子は泣きながら「助けてー。もう二度と悪さはしませんから」とさけんでいます。和尚さんは、しばらくの間知らんふりをしていましたが、だんだんとかわいそうになってきました。それに、よく考えてみると、雷が雨をたっぷり降らせてくれるおかげで、お米もよく実るのです。
「こら、雷よ。これからはもう悪さはしないか」、「はい、もう二度と桑原村へは落ちませんから、助けて下さい」、「それなら、そこから出してやろう」、和尚さんはそう言うと、長いじゅずを使って、雷の子を井戸からひっぱり出してやりました。雷の子は大喜びで、何度も何度も和尚さんにおじぎをしてから、雲の上へ帰ってゆきました。この話を聞いた雷の親は、ほかの雷たちを集めて言いました。
「これからは、三田(さんだ)の桑原村にだけは絶対に落ちてはならんぞ」、それからというもの、桑原村には二度と雷が落ちないようになったそうです。それを聞いたよその村の人たちは、雷が鳴り始めるとかやの中に入って、「ここは桑原、欣勝寺。くわばら、くわばら欣勝寺」と唱えるようになったということです。
今でも雷が鳴るとお年寄りは「おお!くわばらくわばら」と安全な処へ避難しようとします。

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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岡部俊雄

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