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 長崎屋の崩壊 4

勿論実際の話ですが、岡山の百貨店でのキャンペーンが決まり当日新幹線で会場入りの予定を立てていた彼に一本の電話が鳴ったのです。それは彼女を連れて前日に入ってくれという内容でした。
彼の心に嫌な予感が過ぎったそうです。一旦はお断りしたものの半ば脅されるように呼び寄せられ、タレントを連れて前日岡山に向かったそうです。彼は内緒で女性タレントを別のホテルに宿泊させ、自分だけが用意されたホテルにチェックインすると指定された時間に食事と称して待機していた百貨店側の招きに応じたのです。一人だけで出席した彼に百貨店の担当者は激怒、タレントを連れて来いと相当の剣幕。その様子にやっぱりと察した彼は決して口を割りませんでした。
すると百貨店の担当者は知人に電話をして彼を人気のない場所に連れだすとボコボコにしてしまいました。
彼は翌日の仕事を拒否し東京へと戻るとその月で会社を辞めてしまったのです。
何も知らない私は、久し振りに彼に会ってその事実を聞かされたのです。当時のイベント担当者はどこもが湯水のようにこうした経費を自由に使っていたと言っていいでしょう。それだけに錯覚する担当者が続出したのです。
阪神淡路大地震が発生したときもこんな噂話が流れました。
地震区域にあったダイエーの店も少しだけ打撃を受けたようでした。そのときの仕入れ責任者が誰であったかは知りませんが、各取引先に見舞金と称して想像をはるかに超える金額を割り当てたのだそうです。
その金額が半端でなかったことから辞退するもの、取引を諦める会社がいくつとなく現れました。結果、災害時前よりも大きな収入になったと語られています。
私はこの話を聞いたとき、おそらくこうした大手のスーパーや百貨店は近い内に必ず崩壊するに違いないと確信していました。残念ながら一部の企業を覗いてバタバタと崩壊していったのはご覧の通りでした。
つまり、本当に経営すると言う姿勢からは遠く離れていましたね。自分がやらなければ食っていけないと頑張っていた自分からすれば無責任な集団だったように思う。経営陣は上辺だけしか見えず一番大切な部分に気づけなっかったようでした。
タレントを必死で守った彼の顔は本当に腫れあがってそれはすごいものでした。なんとしてでもタレントを一人前にするんだと必死だった彼に比べたら人間のくずのようなものです。もっとやりようがあったとしても時代に流された各担当者はまた別の意味で被害者だったかも知れません。(つづく)

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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