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 友だち以上 恋人未満 2

初めて与えられた役に燃えましたね!練習して練習して・・・。何度稽古を重ねてもダメを出されて緊張と興奮の毎日でした。8月に入るとさすがに彼女のことはもう頭にありません。それほどお芝居の難しさと演ずることの喜びを肌で味わっていました。発表会場は都内イイノホール。
スポットライトを浴び、効果音やセットが出現すると興奮も最高潮でした。喫茶店で新聞に目を通しているところから幕が開きます。練習には無かった足組みをしてしまい最初のひと言が遅れてしまいました。「あの~奥さん!もしもこの世界がなくなってしまうとしたらどうします?」忘れもしない私の最初の台詞です。足を組んだ分参ったな~・・・と思っていたのですが、終わってから先生に「落ち着いていて今までで一番良い間だった」。そう誉められたのです。芝居がこれほど楽しいものだとは思いませんでしたが、まだ素人ですから本当の怖さは知らなかったんでしょうね!
客席は確か700席くらいだったと思いますが毎日満席で生の舞台の醍醐味を味わっていました。そして千秋楽の幕が下りました。千秋楽には親戚の伯父叔母たちも駆けつけてくれ舞台が終わってから楽屋まで来てくださってお祝いに食事にでも行こうと誘ってくれました。そのとき「そうだ!今夜は食事の約束をしていたんだ・・・」と思い出し、その経緯を説明し伯父たちにはとりあえず帰って頂きました。
「そうだそうだ!今夜だ今夜だ!」そう思うと不思議な喜びが湧いてきて急いでお化粧を落として彼女を待つことにしました。
隣りの楽屋は「若者たち」の楽屋です。私の芝居が後だったのでもう彼女はメイクも落とし待っていてくれるに違いない。なぜかしらソワソワしながら鏡に向かっている自分が不思議でした。30分くらいした午後9時少し前ころ、廊下に出て隣りの楽屋を覗きました。彼女は同じ作品の出演者と話しているようなので少し待ちました。メンバーが一人二人と帰っていきます。15分くらいして呼びに行くと彼女はいません。あれ~・・・どこへ行ったんだろうと廊下の奥の方を見ると彼女と同じ作品の出演者の男性が何やら話し込んでいるようでした。すぐに終わるだろうととりあえず私が待っていることを告げて自分の楽屋に戻りました。待つときの時間は5分でも長いように感じました。しばらく経って、もう時間が無くなるので再び呼びに行きました。「織田さん!どうするの?時間だよ!」「・・・・・」、何か様子が変です。「どうするの帰ろう?」私は約束をしていたのでそう声をかけました。すると彼女は私のところに来て「実は岡田さんが私と付き合って欲しいって言うの」???。彼は私より2歳年上でした。
「だって今夜二人で食事っていう・・・」「そうだけど!実は別々にお稽古している間に2度ほどお茶飲みに行って・・・・」???「それで!」、「それで7月頃から付き合って付き合ってって言われるから・・・・」。さすがの私も何が何だか分からないのと楽しみにしていたことの複雑さからついつい興奮気味に「で、付き合うの?・・・分かった僕帰るよ!」そう言うなり会場を出ようと歩き始めました。(つづく)
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岡部俊雄

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