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 友だち以上 恋人未満 3

帰りかけた私を追いかけて織田さんは私にこう告げました。「ごめんなさい!これから帰り道で断るから後からついて来て・・・!」と。別に彼女は私のものでもないのに何故かドラマチックな雰囲気が漂って、どうなるのか知らないけどとりあえず二人から10メートルほど後ろを歩き始めました。
新橋の駅に到着するまでに話をするつもりらしい。でもこんな経験初めてで全くどうして良いか分からない状態。しかし不思議なもので岡田さんが彼女にアタックしていたと聞いてなんだか複雑な気持ちでいっぱいでした。今までに恋人は勿論、彼女すらいなかった訳ですからどうしたら良いのかがその時の私では分かりませんでした。ゆっくり歩いたせいか時間が相当かかった気がします。ようやく新橋の駅に着きました。時計はまもなく10時になろうとしています。少し離れた場所で待っていましたがもう食事をするなんて時刻ではありません。私は千葉の親戚に居候している身。彼女は川崎まで帰らなければならない。しかも高校生です。
さすがに決断を迫られ彼女のところに向かいました。「どうしたの一体?もう時間ないから僕帰るよ!」と告げると私は改札に向かいました。すると「待って!今行くから・・・」。来るって言うので少し足が止まりました。やっぱり彼女は動きませんでした。本当に時間がないので私は少し大きな声で「帰る!」と告げました。どうしたのか彼女は少し涙声で「お兄ちゃんの馬鹿~」って叫んだのです。まるでドラマみたいでした。周りの人が一斉に振り向いたほどですから。
お兄ちゃん?僕のこと?・・・、もういいやと思った私は改札を通りホームに向かいどんどん歩き出したのです。本当にどうでも良かった。何が何だか分からなくなっていたのです。終わったら食事でもしようかと言ってからその日は来ましたが、この状況で彼女の行動を見てどうしたら良いのか分からない自分。すると1分もしない内に息を切らせながら彼女は私を追いかけて来ました。何故か彼女は涙目です。何だか泣きたいのはこっちの方なのに。
どうしても付き合って欲しいと言われ彼女は迷ったんだそうです。そして私と会わないでいる間は二人でなんだか楽しい時間を過ごしていたとのこと。???発表会の作品に打ち込みたいからそれぞれ集中しようということだったはず。新橋駅ではとうとう彼が涙を流したらしいんです。それで彼が気の毒になって「お兄ちゃんの馬鹿・・・!」に。どちらにしてももう食事どころか直ぐにでも帰らないとと思い今日は食事を取りやめて帰るように促しました。すると彼女は私の腕にしがみつくなり「今夜これから海へ行こう・・・!」と言い出したのです。「これからって・・・家はどうするの?」「今日は帰りたくない!これから海へ行こう・・・!?」でした。このときほど子供と大人ほどの違いに驚きました。つまり私の方がまったく子供だということです。彼女はまだ高校生なのに。都会の女性は凄いな~・・・と正直に思いました。勿論彼女は夜遊びをするような子ではありません。だから余計驚いたのです。いくら夏休みだからと言って。反面、僕は本当に田舎者だとつくづく思いました。大森近くまで彼女を送り私は帰路につきました。結局食事もせずにお腹はペコペコ。長い一日が終わりました。(つづく)

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