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 素晴らしい夏

私が生まれた家は越後の町の小さなお寺でした。浄土真宗でいう前寺です。勿論周りはお墓に囲まれて育ちましたからそれ等は極自然でした。映画などで見る不気味な火の玉などは何度も見ました。あんなには動きませんが雨が降った翌日の夜に古い墓に化学反応で見えるものです。
お堂の窓から大きな紅葉の木がまるで日本庭園を見るように美しく、特に夏は風鈴の音とともに何とも素敵な気分を味わうことができたのです。
特に中学生の頃は夏になるとこのお堂がまるで寺子屋のように仲良しが集まってよく宿題をしたものです。くりくり坊主の可愛い時代でしたね。
今と違って冷房なるものはありませんが、広い部屋を静かに通りすぎる風が何とも涼しくて最高でした。多くのセミが競って鳴いていましたが全く騒音にはなりません。休憩する頃を見計らって白い割烹着の母が真っ赤なスイカを出してくれます。 また別の日にはほっかほかのとうもろこしの登場。
当時は各家庭に井戸水があってその冷たさは半端ではありません。今でこそ町の水は汚染されていて飲めませんが旨かったな~!
午前中みっちり頑張って午後からは決まって川に泳ぎに出かけます。近道するために畑を縫って歩いて行きますが途中には胡瓜やトマト、そして辺り一面の桑畑。ここに美味しいおやつが待っているのです。そうです!グミです! 口いっぱいにほおばって、もう口の中はみんな紫色・・・
川の水も飲めるくらい綺麗でした。日が沈みくたくたになるまでよく泳ぎました。小学校の監視の先生や父兄が白い旗をかざして危険区域を知らせるのですが、そこから外れたところで泳げる快感(優越感)は少し大人になったんだという満足感だったんでしょうね。
周りは勿論山に囲まれていますから、近くの山は当然全て制覇。
「あっ!青大将だ・・・」、喜んで追いかけ回した当時。どうして今蛇が苦手なんでしょうね!
2学期に学校へ行くとみんな同じように真っ黒に日焼けした仲間たち。女の子も全てそうでした。
私が会社を興しデパートに「お化け屋敷」を制作依頼されたとき、普通の企画会社なら当然外注に出すのですが美術部などに所属している高校生のアルバイトに指示をし全て手作りのお化け屋敷の誕生です。
工夫したり考えたり、思いついたり等は子供時代の遊びから培われたものなんですね。風の音を知り、四季の情景が空気のようにしっかり体や心にしみついた少年時代。宝物ですね。
こんなにも素晴らしい季節を、今の子供たちにも教えてあげなければいけません。私たちは本当に素晴らしい夏を知っているのだから! そう思いませんか!?

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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岡部俊雄

管理人 : 岡部俊雄
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