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 大切な景観 【借景】

借景(しゃっけい)を辞書で引いてみると「庭園外の遠山や樹木などを、自分の庭園の遠景に見立てること」とある。もうそろそろ紅葉の美しい季節も終わりに近づいているが特に京都や古都と言われる庭園の背景の美しさは世界中探してもなかなか出会えない素晴らしさだ。
考えてみるとその美しさに魅せられていたんだろう、奈良も京都も好きで何度も春や秋そして初夏に出かけたものだ。今年も5月に鎌倉に行って来たが新緑の美しさも格別だった。それはそれぞれに借景があるからというのも考えれば分かる。いろんなところで昔の庭師の技とでも言おうかその感性に何度も惹きこまれて来た。
私がよく出かける河口湖の近くにあるホテル「鐘山苑」もそのひとつ。常時ホテルに10人近くの庭師がいてここの景観もまた素晴らしい。
大きく広い庭は裏山の景色を借りた典型的な借景だろう。その景色がすべて鐘山苑のもののように見える。ここでは裏山どころかある場所からはあの素晴らしい富士山も借景となる。特にいろんな温泉等で何気なく眺めているが露天風呂でみる海の素晴らしさ、富士山を観たり桜や紅葉竹林等この借景は心を癒してくれる。
都会にいるとどこを観てもビルまたビルでどう見ても味気ない。都会は便利と言えば便利かも知れないが人間が暮らす何年かをずっとそうした借景に絆されて過ごすような機会が得られるのならそうしたいと思う人も少なくないのではないだろうか?
私が昔奥会津の囲炉裏のあるかやぶきの民宿で「語りべ」の話に酔いながら美味しいお酒に舌づつみを打っていたとき、これ以上ない雰囲気に「空気は美味いしサッシの無い家並み、大自然の中で生活できるなんていいですね!」と口をついたら「一度住んでみなよ!不便で寒くて・・・ここの住民はこれが良いなんて誰も思ってないよ」の答えが返って来たのだ。
あれから30年近く過ぎたが今でもそうだろうか?少し違うような気がする。勿論当地で生活している人たちがそう言葉を発する気持ちはとってもよく分かる。
時代の変化生活の在り方、交通の整備も進み考えようではそうした借景を味わえる環境は羨ましいとまで思われるようになった。
あと1年ほどであの東京スカイツリーが完成に近づいているが雷門通りから観るその姿は実に贅沢な景観だ。スカイツリーなどそう簡単に作れるものではないからだ。当然かっぱ橋商店街等や各通りからタワーが姿を現しているがその全てが残念なのは例の電線が雲の糸のように邪魔をしている。
雷門通りにはこの電線が見えないのだ。一度カメラ担いで出かけてみてください。これぞ借景とともに浅草の素晴らしい写真が撮れるから。

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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