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 山椒大夫 2

「誰か読んでもらおうかな!」。中学生になり、さっそく国語の時間にその時がやって来ました。心臓がドキドキするのは感じていましたが「はい!」とはっきり進んで手を上げました。上野先生と言います。新一年生はその優しそうな女先生にとっても褒められました。母の真似をして感情たっぷりに読んだ私はみんなから一目おかれたのです。
勿論、読むこと、書くことが大好きになり国語が一番の得意科目になりました。褒められたら嬉しい。またみんなの前で読みたい。その後、私が結婚式の司会を仕事ととはいえ150回以上も経験でき、ラジオのパーソナリティーに抜擢されたり講演に招かれるようになったのも、そのキッカケが母の「山椒大夫」であったことはまぎれもない事実でした。
高校へ行くと友人のラブレターの代筆を頼まれたり、各種式典、番組の台本等を多く手掛けたのも最初のキッカケが全てそうさせたのだと思っています。
私はここで改めて思うのです。どんなに素晴らしい出会い(キッカケ)に遭遇したとしても、そこに素直な心が存在しないとそのキッカケは掴めません。興味を示し、好奇心があって、感動できる心が自分を育ててくれるように思います。
俳句が好きになり、漢文に興味が持て、平家物語や源氏物語に目を通しました。前に母の趣味や特技の話をしましたが、歌舞伎や日本文学の本は母のそばにいつも沢山ありました。歴史小説から時代の英雄に触れその生き方も学べました。この度NHKの大河ドラマがスタートするに当たり、主人公が私の故郷に実在した人物であったことから天地人の歌を作るキッカケにもなりました。直江兼続とその妻お船についての2曲ですがどちらも心にしみる歌ですねと評価を頂き喜んでいます。
私がいつか多くの皆さんの役に立ちたいと念願であったこうしたブログも、考えてみたら「山椒大夫」に出会ったからだと感慨を深くしています。
好きなこと、好きなものを伸ばしなさいとはこういうことなんですね。人間に深みが出てくると言いますが大切なことです!
東北地方に今でも数人の「語りべ」がいます。私も福島で囲炉裏を囲んで「語りべ」の民話を聞いたことがあります。故郷なまりがいっぱいでそれはそれは不思議な世界です。語りべの話から、目をつむるとその情景が浮かんで来ます。日本人だからこそ多くの子供たちにも聞かせてあげたいと何度も思ったものです。
自分では気づかないうちに自分磨きが出来ている。人間だからこそ大切なんだとつくづく思います。あなたが親になったときにそんな影響を与えられるような母であり父親になってください。
あの時の母の涙が「山椒大夫」という作品を通し私の人生を作り上げたようにも思います。その後、童話作家立原えりかの「花かんざし」に出会えたのもそのお陰だと思っています。(つづく)

 人名、会社名等(著名人は除く)は仮名ですが内容は全てノンフィクションです。
 【俊介の部屋】は平成21年6月4日にスタートしました。(毎日掲載しています)
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