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 時代劇 本物のスター

 月形龍之介こそ名優

水戸黄門

私がまだ子供の頃、時代劇の東映は日本中に娯楽を届けていた。
片岡千恵蔵と市川歌右衛門を東西の横綱とし中村錦之助、東千代之介、大川橋蔵、大友柳太郎が花形看板として年に何回か登場する。里見浩太郎や松方弘樹はまだまだ青二才といったところだ。
女優陣は大川恵子、桜町弘子、丘ひろみ、高千穂ちづる等が常に花を添える。ときどき登場する美空ひばりも最高だった。
顏馴染みで無くてはならないのが「悪役」。進藤英太郎、月形龍之介、山形勲、薄田研二、原健作、加賀邦男、吉田義夫等は常に憎まれ役の常連なのだ。
私はちょい役、極端に言えばすぐ切られて死んでしまう端役まで名前を覚えたものだ。当時時代劇と言えば大映という会社も長谷川一夫、市川雷蔵、勝新太郎を擁し活躍していたが東映時代劇の華やかさとは別物で私は殆んど東映フアンだった。
映画を観ては近くの山や河原で棒っきれを持った鼻たれ小僧が集まってチャンバラごっこ。私のちゃんばら歴は半端でなく同じ映画を5回も6回も観る始末(映画館が東映上映館で親戚だったせいで)
私の頭には直径5mmほどの傷跡がある(つまりハゲ)。これは石碑の上(1m)で戦いながら切られたらかっこ良く死ねと先輩に言われ、リアルに倒れたら1mほど下の砂利の上に頭から落ちてとがった小石で5針も縫った跡だ。
余談はともかくとして、それからずっと時代劇フアンだからその歴史(知識)は本物だと自負している。

ここで紹介したいのは私の一押しである名優「月形龍之介」についてだ。
イメージはきっと悪役のイメージが強いだろう。しかし、最近の時代劇を見ても月形龍之介ほどの名優は2度と出て来ないと思う。
どの役をやっても、まさにそんな人物がいるであろうと思わせる凄さだ。「憎っくき・・・・」である。昨年で長寿番組であった水戸黄門のテレビ放送は終了したが歴代のどの黄門様役を見ても私の心は納得できなかった。
私の中では月形龍之介こそ本物の黄門さまだからだ。副将軍としての貫録は気品に満ちしゃべり口調にさえ酔ってしまう。立ち居振る舞いも今の役者にはない素晴らしいものだ。まるでそこに本物黄門さまがいるように思うのも不思議なくらいだ!
東映映画は年に何本かオールスター総出演の娯楽大作が上映される。忠臣蔵や清水の次郎長、そして水戸黄門がそれだ。それぞれの役者に強烈なフアンがいてそれがすべて登場するのだからたまらない。
大川橋蔵、東千代之介を助さん格さんに従え、片岡千恵蔵、市川歌右衛門を向うに回してもその貫録は実に素晴らしい。立ち回りも本格派でチャンバラフアンにはたまらないのだ。
若い人には勿論知る人はいないだろうが、DVDを借りて観て欲しい。必ずフアンになると言っても決して過言ではないでしょう。まさに、これが時代劇だと思わせるからです。

これは月形龍之介が主役ではないが、中村錦之助主演の「一心太助」という作品がある。江戸の町で人気者の魚や一心太助の物語だが、ここでの月形龍之介(大久保彦左衛門)が実に素晴らしい。
心の通い合う人情娯楽大作と言って良い。中村錦之助の華やかさの中に月形龍之介がまるで父兄のような優しさを醸し出している。一度進藤英太郎が大久保彦左衛門を演じたことがあるがショックさえ受けるくらいだ。
もの静かでいて温かさがにじみ出てくる。私は月形龍之介の主役作品(DVD)を全て持っているがおそらく一番大切な作品だろう。もう二度と出て来ない名優を忍びながらのひとり言でした。

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岡部俊雄

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