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 小さな秋の物語 1

どんなに世の中が変わっても変えたくないのが日本人の心根なんだと最近つくづく思えてならない。
人それぞれ多くの思い出があるだろうが、考えてみたら私の思い出はと聞かれたら「詩(うた)との出会い』と言っても過言ではないだろう!

もの想う秋にここ数日間そんな思い出の詩を書き綴ってみたいと思う。

以前、私が本を読むことが好きになったキッカケを綴ったことがあった。中学生になる三月の頃だった。
息子が中学生になる喜びをいてもたってもいられなくなった母が受け取ってきたばかりの真新しい教科書に目を通し、国語の教科書を手にするとあるページを読み始めた。それが何度もお話しした「山椒大夫」だ。
しかし、母の読み方に感動して本が好きになったと言ったがそれにはやはり前ぶれがあった。

私が2~3歳の頃だったと思うが小学校3年生くらいまで家には当時お手伝いさんがいて(小栗山のばあちゃんとその娘さん小栗山のおばさんと呼んでいた)そのお二人のどちらかが家の忙しい時にいつも添い寝してくれていた。
どちらもかならず眠るときにしてくれる昔話。私の最高の語りべだった。
桃太郎は勿論、かぐや姫や浦島太郎シリーズは全部聞いた。面白いと毎晩のように催促をして語ってもらった。
その話し方には愛情があって優しく、静かにときには怖く、まるでその場が今物語の現場にいるような臨場感を感じながら聞いたものだ。
「むか~しむかし・・・・」の出だしは今でも鮮明に覚えている。
そして、語りの中に必ず入ってくるのがその主題歌だった。

私が眠りにつく瞬間はすべてこの歌にあったようだ。
私が殆どの童謡を知っているのはこのお二人の影響だっとはっきり断言できる。

昔話の殆どが勧善懲悪に結び付けられているから一般的にいう「良い子」に育ったのはその影響だろう(笑)

裏の畑でポチが鳴く 正直爺さん掘ったなら・・・・ と。 そのころから犬はポチだったんだ!(笑)

「悪い子になると風の又三郎が来て・・・・・  悪い子はどこだ!」とその語りの迫力はすごい。だから一人で布団にいて台風に近いような風が雨戸をたたくと本当に怖かった。
今考えると風の又三郎の意味は少し違っていたが二宮金次郎や猿飛び佐助などの話は適当にアレンジされていて楽しかった。そのお陰かこの世にサンタクロースは本当にいると思い、大人の靴下を準備して眠ったものだ。

そして中学生になる春「山椒大夫」に出会ったのだ。母が途中で涙しながら読んでくれた教科書。一生の宝物になった。中学にに上がるとハイネの詩を好んで読むようになった。
そして同じ頃登場したのがサトウハチロー先生の作品だ。  (つづく)

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岡部俊雄

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